今年の読書(34)『血に花・下』帚木蓬生(集英社文庫)
6月
25日
二十何年ぶりの飢饉がおこり、農民たちは一揆の覚悟で集まりますが、元家老の<稲次>のように藩の体制を見直す家老もおらず、一揆の見せしめに庄屋や農民たちに処刑がいいわたされ、<庄十郎>の兄<甚八>も見せしめのために処刑され、<高松家>は途絶えてしまいます。
不作・飢饉・増税に苦しみながらも、強く生きぬく農民たちの姿を細かく描き、市井の医者としての職務を全うする<庄十郎>の複雑な心の変遷を絡める、歴史的大作に感動を覚えました。