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- 今年の読書(95)『泣くな道真 大宰府の詩』澤田瞳子(集英社文庫)
以前に読んだ著者の仏師<定朝>を描いた 『満つる月の如し』 の時代考証の緻密さに驚くと共に、壮大な構成に力量の確かさに感動を覚えました。
本書は、どことなく面白みのあるタイトルに興味を持ってしまいました。
主人公はタイトルの通り京にて右大臣まで上り詰めたのち、<藤原時平>の計略により大宰府に左遷された<菅原道真>ですが、物語は婿養子でやる気がなく「うたたね殿」と揶揄されている地元官人<龍野保積>の目線で語られていきます。
「学問の神様」と謳われている<道真>ですが、冒頭から嘆き悲しむ哀れな<道真>が登場、そのお相手にと<保積>が任用され、また大宰府の最高責任者「大弐」の地位にある伯父<小野葛絃>を頼ってきた<小野恬子(しずこ)=(小野小町)>を含め<道真>と巻き起こす事件が、笑いと悲哀を交えながら描かれています。
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