<池波正太郎>は『鬼平犯科帳』や『剣客商売』などの時代小説でファンも多く、また美食家・映画評論家としても有名ですが、1990(平成2)年5月3日に没して早や20年が過ぎています。
本書は、フランスを訪れた紀行文である『あるシネマディクトの旅』・『続・あるシネマディクトの旅』・『新・シネマディクトの旅』の3紀行文をまとめています。
著者はグルメならグルメの取材だけ、執筆の下調べは下調べだけと、余分な行動を取る性格ではありませんが、やはり食通らしい表現が随所に表れています。
内容的には30年以上前の紀行文ですので、今は著者が訪れた時代とは随分と変わっていると思いますが、温かみのある目線での紀行文は時代差を感じません。
表紙のセピア色の写真で著者と写っているのは、旧中央市場(レアール)にあるお気に入りの酒場「B・O・F」の亭主<セトル・ジャン>(当時72歳)ですが、この紀行文を読み、わたしも会いたくなる人物でした。
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