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- 『八朔の雪』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)
主人公は18歳の<澪>で大坂生まれですが、10年前の享和2(1802)年7月1日に起こった淀川の氾濫で両親を亡くし、料理屋「天満一兆庵」の女将<芳>に拾われ奉公していました。
味覚の良さを主人<嘉兵衛>に認められ、料理人として修業を始めた矢先火事に合い、江戸に支店を出している息子の<佐兵衛>の店に出向きますと、店はなく<佐兵衛>は行方知らずになっていました。
<佐兵衛>の行方を捜すと共に、<芳>とともに「天満一兆庵」再興という願い持ちながら<澪>は、主人<種市>の蕎麦屋「つる家」で蕎麦代わりの料理に精を出すのですが、上方と江戸との味覚の違いに戸惑う日々が続きます。
試行錯誤のに末満足すべき出汁を完成させた<澪>は、「とろとろ茶碗蒸し」が大人気となり『料理番付』に初登場で関脇となるのですが、大関の「登龍桜」が「つる家」の近くに新しい店を出し同じ茶碗蒸し料理で対抗、付け火で「つる家」は燃やされてしまいます。
「つる家」が亡くなり、一時は料理の世界から足を洗おうと考える<澪>でしたが、料理だけが自分を生かせる道だと決心した<澪>は、屋台からの再出発を果たすのでした。
長屋の隣の住人<おりょう>や医師の<永田源斉>、そして<小松原>と名乗る正体不明の浪人としての脇役も良く、今後の展開が楽しみなシリーズになりそうです。
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