今年の読書(15)『花桃実桃』中島京子(中公文庫)
1月
27日
主人公<花村茜>は43歳で独身、勤めていた会社から退職勧告を受け、70歳手前で突然急死した父<桃蔵>が残した築20年の「花桃館」に自らが移り住み、大家としての生活が始まります。
移り住んでからわかるのですが、住民の一人<雨宮李華>は亡き父の女であり、ウクレレおたくの<玉井>、整形依存症の<高岡日名子>、父子家庭の<妙蓮寺>家等、多彩な登場人物たちで人間模様の綾が繰り広げられていきます。
人生の折り返し点を超えた戸惑いと、同級生でバツ一の<尾木>とのほのかな恋心を散りばめて、<茜>が前向きに歩んでいく姿がユーモアに描かれている一冊でした。