今年の読書(114)『禁猟区』乃南アサ(新潮文庫)
9月
13日
本書には四編の作品が収められていますが、警察官にあるまじき犯罪や汚職に手を染めてしまった、あわれな姿が浮き彫りにされています。
<江尻>は言います。「警察官だって人間だ。規律に縛られた仕事をしていても、制服を脱げば普通の暮らしが待っている>と。
一度不正に手を染めてしまうと、金銭や名誉欲に目がくらむのが人間としての性かもしれませんが、その行為自体を正当だと認める弱さも、これまた人間なのかなと考えさせられる一冊でした。