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- 今年の読書(114)『禁猟区』乃南アサ(新潮文庫)
著者は、女刑事<音道貴子>を主人公にした作品が何点かありますが、今回の主人公は同じ女性でありながら事件捜査には直接関係がない、警務部人事一課調査二係に所属し、警察官の犯罪を捜査する監察官<江尻いくみ>です。
本書には四編の作品が収められていますが、警察官にあるまじき犯罪や汚職に手を染めてしまった、あわれな姿が浮き彫りにされています。
<江尻>は言います。「警察官だって人間だ。規律に縛られた仕事をしていても、制服を脱げば普通の暮らしが待っている>と。
一度不正に手を染めてしまうと、金銭や名誉欲に目がくらむのが人間としての性かもしれませんが、その行為自体を正当だと認める弱さも、これまた人間なのかなと考えさせられる一冊でした。
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