今年の読書(1)『子供の眼』リチャード・ノース・パターソン(新潮社)
1月
3日
6歳の娘<エレナ>の養護権を夫<リッチ>と争っている<テリーザ>は、試験的別居生活が始まると、憧れていた上司の<クリストファー>の所に身を寄せてしまいます。
<リッチ>は定職にもつかず、弁護士として働いている<テリーザ>から養育費をむしり取るために卑劣な手段で妻と諍いが続いているところ、<リッチ>が自殺として見せかけられて銃殺されてしまいます。
上院議員に立候補予定だった<クリストファー>ですが、この事件を機に容疑者として被告人となり、心許せる弁護士<キャロライン>との法廷戦術が始まります。
アメリカならではの陪審員制度を巧みに取り入れながら、検察側、弁護側の駆け引きは元弁護士ならではの知識と経験が生かされ、良く計算された筋立てで、長編にも関わらず最後まで一気に読ませてくれます。
脇役の登場人物たちの性格付けも面白く、意外な結末の伏線も、<テリーザ>の育った幼児体験と<エレナ>の家庭環境と対比させる中で散りばめらています。
被告弁護士として活躍した<キャサリン>の登場する作品が続くようですが、じっくりと腰を落ち着けて読める機会を持ちたいとおもいます。