今年の読書(10)『雫の街』乃南アサ(新潮文庫)
2月
27日
「家庭調査官・庵原かのん」シリーズとして、第1作『家庭調査官・庵原かのん』(2022年8月刊)に続く2作目となる『雫の街』は、2023年6月に刊行され、2026年2月1日に文庫本として発売されています。
前作では、福岡家裁北九州支部での少年事件7篇が収められていましたが、今回は、横浜家庭裁判所川崎支部に移動、上野動物園勤務の「栗林」と遠距離恋愛でしたが、移動に伴い結婚しての物語が始まります。
家庭裁判所としての夫婦の離婚問題・子供の親権・相続問題など関連の7篇が収められ、コロナ禍を背景として描かれています。
モラハラ夫、我が子を見捨てる母親、身寄りのない記憶喪失の男など、横浜家裁川崎中央支部にやってくる家事事件の当事者たちは多種多彩の問題を抱えています。社会から零れ落ちそうな人たちの心を開き、それぞれの人生に寄り添うため、赴任したばかりの「かのん」は、真実を求めてひたむきに奔走します。 人間、そして家族の表と裏を心揺さぶる筆致で描いています。
特に一日でも早く離婚したい呑み屋経営の母親が主人公の『はなむけ』は、母親としての生きざまに、目頭が緩む感動作でした。










