『夏のくじら』大崎梢(文春文庫)
6月
10日
主人公の<守山篤史>は、東京に住みながら夏休みは祖父母が住む高知に追いやられ、中学3年生のときに『そら組』というチームで<よさこい祭り>に従兄弟の<多郎>と共に参加しますが、そのチームに気になる女性がおり、淡い恋心を持ち続けていました。
そんな影響もあるのか、大学は高知大学を受験、祖父母の家に下宿しながら<多郎>に誘われるままに町内会の『鯨井蝶踊り子隊』に参画、抜群に踊りのうまい<カジ(華地)>の元で、踊りの練習に励んでいきます。
4月の準備から8月の本番に向けての<よさこい祭り>の流れがよくわかり、<篤史>の恋物語を平行に描いて無事に再開できるのかと読者を引き込み、祭りにかける若者たちの意気込みがよく伝わる構成が楽しめる一冊でした。