2001年に解体された状態で寄贈を受け、活用策が決まっていなかった旧財閥「三井家御殿」について福井県小浜市は、同市鹿島の旧小浜第二保育園の園庭跡地に復元する方針を明らかにしています。時期は未定。費用は約8千万円とされ、財源確保が大きな課題となっています。本年度中に策定する文化財保存活用地域計画に方針を盛り込み、復元に向け国の補助を得たい考え。寄贈から18年をへて、具体的な活用へ一歩踏み出します。
「御殿」は、江戸時代末期に京都御所内に建てられた平屋。10畳と7・5畳の計2部屋があり、拝領した三井家が迎賓館として活用。三井家が小浜藩の両替商だったなどの縁で、調度品とともに市に寄贈されました。
「御殿」の解体部材は、同市堅海の旧堅海小で2003年から保管。市歴史的建造物復元構想委員会が2012年に調査報告書をまとめ、国登録有形文化財としての価値があり、まちづくりに寄与すると提言していました。
小浜市は、旧小浜第二保育園跡地をまち歩きの中継点として位置づけ、風情ある町並みの「小浜西組」や、国史跡の後瀬山城跡の紹介施設として同園建物の活用を検討。市幹部らが参加した5月の政策会議で、紹介施設の付帯施設として園庭跡に御殿を復元する方針をまとめました。老朽化により旧堅海小を本年度中に取り壊すため、同園跡地への移転費用334万円を、市一般会計9月補正予算案に計上しています。
4月1日に施行された改正文化財保護法では、各自治体が策定する文化財の保存活用地域計画を国が認定することで、自治体の判断で文化財の軽い現状変更などができるようになります。市は昨年度から策定に着手し、本年度末にまとめる見込み。これに三井家御殿復元について盛り込むことで、国の補助を受けやすくなるといいます。
京都市東山区に 「オリエンタルホテル京都 ギャラリー」 が2日(月)オープンしていますが、奈良県斑鳩町の世界遺産・法隆寺の参道に初めて開業予定のホテルで3日、報道関係者向けの内覧会が開かれました。ホテルでは日本文化の体験ができ、訪日外国人観光客の宿泊を増やすのが狙いです。
門前宿「和空法隆寺」という名称で、8日にオープンします。法隆寺までは徒歩1分。大阪市の観光関連企業が運営します。2階建ての2棟から成り、計60室。ホテル内で茶道や書道、華道などの体験を楽しめる。1人1泊2食付きで1万8500円(税抜き)から。
奈良県は歴史のある寺院などで観光地として人気がありますが、宿泊施設が少なく、日帰り客が多いのが課題になっています。斑鳩町が滞在型の観光客を増やそうと、2014年に法隆寺周辺の土地の利用規制を緩和し、ホテルの建設が可能になりました。
(画像:「オリエンタルホテル京都 ギャラリー」)
ホテル運営を手掛けるホテルマネージメントジャパン(東京)は2日、京都市東山区に「オリエンタルホテル京都 ギャラリー」をオープンさせています。7階建てで延べ4615平方メートル、150室。
京阪清水五条駅近くの五条通沿いで、観光客を中心に当初は6割程度は訪日客の利用を想定しています。
同ブランドは京都初進出で、土地柄を生かして伝統工芸、文化の展示や体験ができます。9月末からは金継ぎ作品の展示販売や体験、10月末からは京都写真協会の協力で写真展を開催するよていです。
朝食レストランを備え、客室の内訳はツイン128室、ダブル10室など。料金は1室1万~2万円程度。「ホテルが少ないエリアに先駆けて出店できたのは大きい。今後五条周辺をけん引する存在になりたい」と話している。同ブランドは11月にも下京区に166室のホテルをオープンする予定。
五輪博物館「日本オリンピックミュージアム」が入るビル「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」
日本オリンピック委員会(JOC)は2日、東京都内に新設した五輪博物館「日本オリンピックミュージアム」の報道陣向け内覧会を行ないました。
五輪の意義や歴史を紹介し、政治的圧力で日本がボイコットした1980年モスクワ大会の「幻の代表」も含めて日本の全五輪選手の名前が彫り込まれたコーナーもできています。スポーツ界の教訓を後世に伝えていきます。
博物館は、5月に完成した新ビルでJOCや日本スポーツ協会など多くの競技団体が事務局を置く「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」(東京都新宿区霞ヶ丘町4番2号)の1、2階に設置されています。
JOC運営で9月14日(土)にオープンします。入館料は一般500円、高校生以下を無料とし、修学旅行のニーズなども見込んでいます。
開館時間は午前10時から午後5時までで、原則として月曜日が休館日となります。
「リンクスクエア新宿」(画像:三菱地所)
三菱地所などは26日、JR新宿駅から直結する複合商業施設「リンクスクエア新宿」(東京都渋谷区)の完工式を行っています。9月27日に1~3階の飲食店などがオープンします。オフィスフロアには、シェアオフィス大手のウィーワークなどが入居します。「リンクスクエア新宿」は、渋谷区などが進める新宿・代々木・千駄ケ谷の3地区の再開発地域に位置しており、3地区をつなぐ拠点として街のにぎわいに貢献します。
「リンクスクエア新宿」は、三菱地所、日本製粉、ジャパンリアルエステイト投資法人の3社が所有していたオフィスビル3棟を1棟として建て替えたビルです。1~3階にはつけ麺などの商業施設、4~16階にはオフィスが入居します。
三菱地所は平成23年に、旗艦開発地域である東京・丸の内以外でも再開発を進めるために組織を立ち上げ、東新宿や田町など都心駅周辺で再開発を進めています。「リンクスクエア新宿」はこの一環の建物になります。
新宿・代々木・千駄ケ谷地区の再開発は、26年に渋谷区が「千駄ケ谷五丁目北地区地区計画」を策定して進めており、来年度予定される明治通りバイパスの開通により、リンクスクエア新宿以外にもオフィスビルなどの再開発が進むことが見込まれている。
森ビルが建設を予定している超高層ビルの模型(中央)(画像:森ビル)
森ビルは8月22日、東京都港区の虎ノ門・麻布台地区に、高さ約330メートルの超高層ビルなどを建設する大規模再開発プロジェクトの詳細を発表しています。330メートルのビルが完成すれば、完成予定の2023年3月末時点で大阪市の 「あべのハルカス」 (300メートル)を抜き、日本一の高さとなります。しかし、4年後の2027年には、三菱地所が東京駅前で計画している390メートルの超高層ビルが完成予定です。
8月5日に着工した「虎ノ門・麻布台プロジェクト」では、オフィスや商業施設を中心とした330メートルのメインタワーに加えて、住宅やホテルなどが入る東棟、西棟、低層棟のほか、広大な広場などを整備します。事業費は約5800億円。
開発計画区域は約8.1ヘクタール(8万1000平方メートル)にも上る。延べ床面積は約86万400平方メートル。就業者数約2万人、居住者数約3500人、年間来街者数2500万~3000万人を見込み、「スケールとインパクトは六本木ヒルズに匹敵」(同社)するといいます。
今回のプロジェクトでは、緑化にも注力している。緑化面積は約2.4ヘクタール(2万4000平方メートル)。高低差のある地形を生かして、低層棟の屋上を含む敷地全体を緑で覆うように計画されています。
整備予定の施設も多様です。医療施設、スパ、フィットネスクラブ、フードマーケット、レストラン、広場、菜園などを整備し、メンバーシッププログラムで連携させる構想があります。また、生徒数約700人のインターナショナルスクール、ミュージアムやギャラリーといった文化施設も新設されます。
三菱地所が東京駅前の常盤橋地区で進めている大規模開発事業もすでに着工しています。高さ390メートルの超高層ビルは2023年着工予定ですが、隣接する212メートルのビルの建設は始まっており、2027年の全体開業に向けて段階的に整備が進んでいます。
阪神電気鉄道(大阪市)が、プロ野球阪神タイガースの本拠地、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の南側に、新たな商業施設の建設を計画しています。球場内にある「甲子園歴史館」の展示の一部を移し、新たに体験型のアトラクションを設けて、子どもから大人までが気軽に楽しめる空間を目指します。プロ野球や全国高校野球選手権の試合だけに頼らず、球場周辺が年中にぎわう「ボールパークエリア」を目指す意向です。
建設予定地は、道路を挟んで球場と隣接する市営住宅跡地の市有地で、広さは約3200平方メートル。阪神電鉄や西宮市は、2020年に賃貸借契約を結んで着工し、21年にオープンさせる予定です
同社の計画では、新施設は3階建て。1階に飲食や物販の店舗が入る。2階は球場とデッキでつなぎ、タイガースや高校野球の歩みを紹介する甲子園歴史館の展示機能の一部を移して充実させる。また、プロ投手に対する打席を疑似体験できるコーナーやカフェが併設されます。
3階は、子どもが遊べるキッズゾーンやチアリーディングなどの練習ができる多目的ホールを用意し、親子連れが集うフロアとする。同社は「球場の歴史館はコアな野球ファン向けとし、新施設は家族やカップルなど幅広い層を集客したい」と期待しています
同社によりますと、甲子園球場でプロ野球と全国高校野球選手権大会の試合が開催されるのは年間で100日程度。大学アメリカンフットボール日本一を決める「甲子園ボウル」などの他競技やコンサートを合わせても、1年間の3分の2は観客が入るイベントは行われていません。
新施設は球場での試合やイベントがない日の集客が期待されます。一帯の回遊性を高めるため、球場南東にある商業施設「ららぽーと甲子園」と新施設をデッキで接続する案も出ているようです。
文豪<志賀直哉>(1883~1971年)の京都時代の旧居の一つで、小説『暗夜行路』(雑誌『改造』1921年1月~)でも重要な舞台として描かれた京都市北区の住宅が近く取り壊されることが13日までに分かっています。大正期の木造2階建てで老朽化が著しく、現在の所有者が解体・売却の手続きを進めています。
旧居は北野白梅町交差点から南西約200メートルにあり、1910年代に衣笠村(当時)に郊外型住宅として開発され、文化人が多く住んだ「衣笠園」の一角にあります。<志賀>は新婚間もない1915(大正4)年1月に移り住んでいます。実父との確執が激しい時期で妻も神経衰弱になり、わずか4カ月余りで退居し京都を離れました。
この時期の日記は全集未収録で、詳しい暮らしぶりは分かっていません。ただ『暗夜行路』では、自らを投影させた主人公の作家「時任謙作」と妻「直子」が新婚生活をスタートさせた家として登場。「二人は衣笠村にいい新建(しんだ)ちの二階家を見つけ、其所(そこ)へ引移った」との描写に始まり、幼い長男の死や「直子」を襲った悲劇の舞台として、たびたび描かれています。
2階の書斎は「机を据(す)えた北窓から眺(なが)められる景色が彼(謙作)を喜ばした。正面に丸く松の茂った衣笠山がある。その前に金閣寺の森、奥には鷹ヶ峰の一部が見えた」と綴られ、志賀自身も創作の場として使っていたことをうかがわせます。
<志賀>が退居後はしばらく賃貸住宅として活用。1930年代半ばに入居した男性(故人)が戦後に土地と建物を購入しました。その後長く暮らした男性の長男も昨夏に亡くなり、空き家になっていました。
京都では明治末期ごろから近代的な郊外型住宅が登場し、北白川や岡崎、下鴨などに先立ち、「衣笠園」が宅地として造成されました。とりわけ知識人階級を意識して貸し出され、<志賀>をはじめ、日本画家の<土田麦僊>や<宇田荻邨>、後には映画関係者も住み、戦前には「芸術村」と目されていました。
<志賀>の旧居はインテリ層向けの近代和風住宅の原型である上、北山杉を用いた数寄屋風の意匠や土間といった農家風の空間を備えるなど多様な住宅的な要素を併存させています。建築から100年以上がたって往時の建物が消えゆく中、文学史上の価値はもとより、近代の建築史や京都の都市史を考える上でも貴重な建物といえます。
栃木県さくら市の櫻野地区の旧奥州街道沿いにあり、通りに面して伝統的な築地塀を巡らし、堂々たる長屋門を開くなど、今なお旧家の面影を留め、明治期の重厚な雰囲気を良く残しています県指定文化財「瀧澤家住宅」の修復工事が終了し、8月10日、プレオープンしています。当面は開館日を限定して公開し、庭を整備するなどして10月頃に本オープンされる予定です。
同住宅は、養蚕業で財を成し銀行も経営した実業家<瀧澤喜平治(たきざわきへいじ)>(1846~1917年)が建てた近代和風建築の邸宅です。
上質な材料と意匠が目立ち、近代和風建築の水準を知ることができる貴重な遺構です。望楼を備えた建物は以前栃木県内の奥州街道沿いに何棟かありましたが、現在はここだけとなり、大変貴重です。
明治期の重厚な雰囲気を残しており1998年(平成10年)、歴史的な価値が認められ、「鐵竹堂(てっちくどう)」「蔵座敷」「長屋門」の3棟は、いずれも明治天皇の行幸を機に建設または増築された建物であるといわれており、県文化財に指定されています。2004年、市が瀧澤家から買い取り、イベント時に開館していました。
< 町家をリノベーションした鞆の浦潮待ちホテル櫓屋(画像:櫓屋) >
瀬戸内の景勝地、鞆の浦(広島県福山市)に8日、築100年を超す古民家を改築した宿泊施設「鞆の浦潮待ちホテル櫓(ろ)屋」がオープンしています。大きな梁(はり)や趣ある建具が歴史や伝統を感じさせつつ、現代的な機能性・デザイン性も兼ね備えた高級宿。上質な滞在を求める内外の旅行者を主な客層とします。
明治期に和船の櫓を作っていた旧商家をホテル運営の鞆スコレ・コーポレーション(福山市)が取得し、約8千万円かけてリノベーションしました。木造2階建て本瓦ぶきの主屋と離れには、占有の坪庭を望む半露天の檜(ひのき)風呂付き客室など4室を配置。1人素泊まり1万8千円(税別)からの料金設定になっています。
「吾妹子(わぎもこ)が見し鞆の浦のむろの木は常世にあれど見し人ぞなき(大伴旅人)」や「鞆の浦の礒のむろの木見むごとに相見し妹は忘らえめやも (大伴旅人)」等万葉集に8首も詠まれた鞆の浦は2017年に国の重要伝統的建造物群保存地区に、2018年には日本遺産に認定されました。今後、街並み保存・整備の動きが本格化すると見られています。
今回の建物は、かつて飲食施設として使われていましたが、2015年から空き家でした。鞆スコレ・コーポレーションは「改めて町家を活用することで街の活性化にも貢献していきたい」としています。
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