今年の読書(17)『罪の年輪』堂場瞬一(文春文庫)
4月
11日
<堂場瞬一>の「ラストライン」シリーズとして、『ラストライン0 灰色の階段』に次ぐシリーズ7冊目の『ラストライン6 罪の年輪』が、2024年3月10日に文庫書下ろしとして発売されています。
立川中央署の捜査一課の主人公「岩蔵剛」も55歳になり、定年延長であと10年は刑事生活が続くと考えているときに本庁に戻らないかとの打診を受け、所轄の立川署の居心地もよく、心揺れるときに、玉川上水の河川敷で、施設に入所していた元小学校教員の「古村春吉」87歳が刺殺体で見つかります。
「岩蔵」は若手刑事の「戸澤」と組み身辺調査に当たりますが、事件となるような背後関係は浮かび上がってきません。
やがて87歳「三島輝政」が自首してきますが、動機を語ろうとはしません。やがて、居住地立川での66年前の「砂川事件」との接点が見つかるだけで、捜査が進まない中、定年後学習塾を小学生に無料で開いていた被害者の意外な素行が浮かび上がり、事件は意外な展開を見せていきます。
主人公の「岩蔵」のキャラクターも生き生きと描かれ、使い物にならない警察署長の息子「戸澤」とのコンビも解消、有望な相棒として「平沼多佳子」との息もぴったりで、「ラストライン7」では、本庁に戻ることになりそうで、30歳の「平沼多佳子」の動向も気になるところです。