今年の読書(21)『女と男、そして殺し屋』石持浅海(文春文庫)
4月
26日
<石持浅海>による「殺し屋」シリーズ第3弾『弾女と男、そして殺し屋』が、2024年3月10日に文庫本書下ろしとして発売されています。本書には短編4作に加えて、表題作でシリーズ初の中編『女と男、そして殺し屋』の5作品が収録されています。
本書の主人公は、普段は経営コンサルタントとして働く「富澤允」と、インターネット通信販売業を営む娘がいるシングルマザーの「鴻池知栄」です。
二人には〈副業〉として人知れず殺し屋稼業を請け負っているという裏の顔がありました。
お互いの存在を知らない二人には、さらにもう一つ共通する癖がありました。それは、不可解な殺人の依頼の裏側を〈推理〉する事でした。
ビジネスライクに、依頼者も警察につかならないように安心安全に、そして確実に任務を実行するために、彼らは殺人依頼を様々な角度からみつめ、非情にも殺人を実行、その背景を謎解きをしていきます。
そんな「富澤允」と「鴻池知栄」が、ある依頼を通して急接近してしまうのが今回のタイトル作『女と男、そして殺し屋』です。
殺し屋が日常生活に潜む謎を解く、殺人事件の犯人探しではない、殺人者が殺人の依頼を解く一風変わった物語が楽しめた一冊でした。