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今年の読書(76)『背中の蜘蛛』誉田哲也(双葉文庫)

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本書『背中の蜘蛛』は、2019年10月20日双葉社より刊行され、第162回・直木賞の候補作品になり、2022年10月16日、文庫本として発売されています。

<誉田哲也>の作品では、『ストロベリーナイト』をはじめとする〈姫川玲子〉シリーズが、<竹内結子>主演で連続ドラマ化、映画化『ストロベリーナイト』(2013年・監督:佐藤祐市 )もされています。また特殊犯捜査係(SIT)を舞台にした『ジウ』三部作((Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ))も<黒木メイサ>、<多部未華子>主演で連続ドラマ化されています。いずれも個性的な女性刑事が登場するのが特徴ですが、本書では、女性刑事は登場しません。

「第一部 裏切りの日」の主人公は警視庁池袋署の刑事課長「本宮夏生」です。西池袋で起きた男性の路上殺人事件の捜査に入ります。現在の犯罪捜査において、防犯カメラの画像解析が大きな役割を果たしています。「足を使っての捜査に警察は弱くなっている」と思う「本宮」ですが、本作でも警視庁の捜査支援分析センター(SSBC)による画像分析で、黒いスーツの男が浮上しますが、被害者が追われているのではなく、反対に被害者が黒いスーツの男を尾行しているようでした。
捜査が難航している中、警視庁刑事部捜査一課長の「小菅」から「本宮」に〈殺害された男の妻を洗え〉という情報が耳打ちされます。捜査本部の指揮系統を逸脱する指示でしたが、すぐに被疑者の逮捕につながります。「小菅」は何を狙っていたのか、その意図を測りかねているうちに第一部は終わります。

「第二部 顔のない目」では、警視庁組織犯罪対策部組対五課の警部補「植木範和」らは薬物の売人「森田」の監視を半年以上続けていました。「森田」が新木場のライブホールに向かい、コインロッカーに近づいたので、取引かと接近する「植木」でした。「森田」がロッカーを開けると、爆弾が爆発。容疑者の「森田」は死亡、「植木」は大けがを負います。
今回も(SSBC)の画像分析から、不審な花屋が捜査線上に浮かびますが、捜査本部にタレコミがあったことで、突然爆弾犯人が逮捕されます。捜査状況に不審に思う「植木」の前に、警視庁捜査一課の管理官となった「本宮」が現れます。第一部と第二部はつながっているのが、読者としてわかります。

そして単独事件の短編かと思われた第一部と第二部を引き継ぐように「第三部 蜘蛛の背中」が始まります。あえて第三部の筋はふれません。「読後、あなたはもうこれまでの日常には戻れない」という帯の文言は、けっして大げさではありません。573ページの長編を読み終えると、「もしかしたら日本で現実に起きているのでは」というなんとも〈嫌な現代的な課題〉を提示された結末に「う~~ん」というため息とともに読み終えました。
#ブログ #文庫本 #読書

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