今年の読書(69)『ランニング・ワイルド』堂場瞬一(文春文庫)
9月
8日
瀬戸内とびしま海道での「アドベンチャーレース」に一組4名のチームとして参加した警視庁機動隊勤務の「和倉賢治」は、スタート直前に、携帯電話に「妻と娘を拉致した」との連絡があり、レース中にある物の回収を指示されます。レースを棄権することも考えましたが、チーム仲間の先輩「重盛康太」の引退記念レースということもあり、無事に回収、犯人に手渡せば、家族は開放されるということで、24時間のレースに参加します。
いつもなら冷静なコース取りの判断をする「わくら」ですが、回収場所に早く着きたいという焦る気持ちがコース選択を誤ることが随所にあらわれ、チーム仲間の不協和音が流れ始めます。
オリエンテーリングとトライアスロンをい組み合わせた24時間の「アドヴェンチャーレース」ということで、冗長とも思える観光案内的なコース説明が続きますが、これも初出が月刊誌『オール讀物』の連載作品ですので、さもありなんという気分で読み進めました。
文庫本の残りページ数が少なくなるのに合わせ、結末が気になる構成でしたが、何事もなく事件が解決するのには、『バビロンの秘文字(上・下)』にも感じた結末として、肩透かしをされた感が残る一冊でした。
やはり<堂場瞬一>は、『刑事 鳴沢了』シリーズ、『警視庁失踪課 高城賢吾』シリーズ、 『警視庁追跡捜査課』シリーズ、 『捜査一課 澤村慶司』シリーズなどといった刑事シリーズが、はずれがないようです。