今年の読書(38)『脅迫者』堂場瞬一(ハルキ文庫)
8月
2日
新人刑事時代のある捜査に違和感を抱いていた追跡捜査係の<沖田>は、二十年ぶりの再捜査を決意します。自殺と処理された案件は、実は殺人だったのではないかと疑いが残る事件でした。
内部による事件の隠蔽を疑う<沖田>を、同係の<西川>はあり得ないと突っぱねますが、当時事件に携わった刑事たちへの事情聴取により、当初は否定していた<西川>も、当時の沖田の先輩や上司の態度に不審感を抱き、疑惑はさらに高まります。警察内部隠蔽の疑いが濃く、被害者は半ヤクザ、主な調査対象は警察関係者、見えてくるのは政治家の影。
お決まりのファンサービスとして著者の他のシリーズの主人公「警視庁失踪課」シリーズの <高城賢吾> や「アナザフェイス」シリーズの <大友鉄> らを登場させているのには、<堂場>ファンとして楽しみが倍増です。
また、<西川>は奥様の実家の母親の介護問題、<沖田>は半同棲の<響子>との関係進展、と私生活をからませての場面展開も楽しめた一冊でした。