今年の読書(22)『牽制』堂場瞬一(中公文庫)
2月
19日
本書は 『遮断』 に続く<警視庁失踪課・高城賢吾>シリーズとしての8作目に当たります。
主人公の<高城>警部は、娘<綾菜>が7歳のときに行方不明になり、それが原因で弁護士である妻と離婚した過去があり、彼の視点から事件を克明に描く手法が取られています。
21歳の<高木>巡査が拳銃を所持しながら制服のまま交番から姿を消し、渋谷署内が騒然とするなか、失踪課のメンバーも捜査に駆り出されます。
かたやプロ球団<パイレーツ>のドラフト一位を獲得した高校球児<花井翔太>が、キャンプイン前に寮から姿を消し、<高城>は元プロ野球選手の<醍醐>巡査部長と二人だけで<花井>の行方を探す捜査に乗り出します。
事件は無事に解決しますが、捜査の過程で昔住んでいた家の近くで起こった火災現場跡から幼い女の子の白骨死体が発見され、もしや<綾菜>ではないのかと読者に匂わすところで本書は終わり、次巻を読まないとモヤモヤとした気分は一新できそうにありません。