今年の読書(36)『アイネクライムナハトムジーク』伊坂幸太郎(幻冬舎文庫)
5月
25日
本書は、6つの短篇が納められており、登場人物と時代背景の設定が変わってゆくのですが、それぞれの短篇の登場人物が密接にかかわりあってゆくという複雑な構成で、ミステリーで言うところの「伏線」を人間で表現しているという、<伊坂幸太郎>らしさが十分に楽しめました。
ただ、最終的に主人公「僕」=「佐藤」が知り合った名前も登場していないガードマンの彼女との関係はどうなったのかと、気になる終わり方でした。
<今泉力哉>監督の映画 『アイネクライムナハトムジーク』 (2019年)では、原作と違い「佐藤」が、ガードマンの彼女「紗季」にプロポーズするように変更されていましたが、本書の冒頭の1章からの流れ的には、結末らしい変更だと思います。