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今年の読書(64)『あしたの君へ』柚木裕子(文春文庫)

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司法関連として、「刑事」や「弁護士」・<和久峻三>の法廷ミステリー小説『赤かぶ検事シリーズ』を代表とする「検事」を主人公とした小説は数多くありますが、<柚木裕子> の本書『あしたの君へ』(2019年11月10日)は、家庭裁判所の「家庭裁判所調査官」を主人公としています。

本書には5篇の家庭裁判所事件を扱った短篇が納められており、「カンポ」と呼ばれる研修中の「家庭裁判所調査官補」である法学部出身の22歳「望月大地」を主人公としています。

少年案件として、窃盗事件を起こした17歳の女子高生「鈴川友里」、ストーカー事件を起こした16歳の男子高校生「星野潤」、家事案件として、中学の同級生「理沙」の離婚話、子供の親権争いでもめている35歳の「朝井可南子」や「片岡朋美」などの研修案件を通して、<望月>の調査官としての成長が描かれています。

わたしも「民事調停委員」・「司法委員」として裁判所に出向いておりましたので、「家事調停委員」たちのが登場する場面などの描写や調査官としての仕事の世界に引き込まれ、面白く楽しめた一冊です。今後のシリーズ化に期待したいです。
#ブログ #文庫本 #読書

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