神戸ご当地(1205)オーストラリア~神戸間で液化水素を運ぶ実証実験@川崎重工業
11月
4日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が支援する水素供給網構築に向けた事業の一環として、豪政府の協力も受け、川崎重工業や岩谷産業など6社で構成する技術研究組合が、褐炭のガス化・液化水素の長距離大量輸送・液化水素の荷役・貯蔵の実証を行い、2030年の商用化を目指します。
褐炭は世界的に埋蔵量が多く、今回採掘するオーストラリア南東部のラトロブバレー地区だけでも、日本の総発電量の240年分を賄えるとされています。一方、乾燥すると自然発火しやすいため輸送が難しく、現地では発電用途にしか使われていません。その分安価で調達でき、コスト面は風力発電より安く、太陽光と同程度といいます。
今回の実証は、オーストラリアで褐炭から生成した水素ガスを零下253度まで冷やして液体にします。体積を800分の1まで圧縮し、専用タンクに入れて16日間かけて神戸まで運びます。
タンクは播磨工場(兵庫県播磨町)で造られ、長さ25メートル、高さ16メートルの楕円(だえん)形。1250立方メートルの液化水素を詰め込める。特殊な内外二重構造を採用し、真空性や断熱性を高めた。運搬船は神戸工場(神戸市中央区)で建造し、実験船は全長116メートル、幅19メートル。商用向けは全長300メートル級を想、タンクを搭載し、2020年半ばの完成を見込んでいます。
川崎重工業は2018年、神戸・ポートアイランドで水素から発電し、電気と熱を供給する実証試験に成功 しています。水素事業は挑戦分野に位置づけ、2030年に全社売上高の5%を目指します。川崎重工業は「液化水素の運搬は世界でも前例のない試み。大規模な水素供給網の構築に向け、鍵となる事業」としています。