今年の読書(54)『操る男』田村和大(宝島社文庫)
9月
13日
元かが捜査研究所(科捜研)の職員が相次いで建築工事用の釘打ち機で殺される事件が起きます。現場から採集されたDNAは、強制わいせつ罪で逮捕され、刑期を終え出所したばかりの犯人<北村良雄>のものでしたが、彼は逮捕時から無罪を訴え続け、獄中からも再審請求を出し続けていました。
殺人犯の捜査を進める段階で、捜査本部に公安からの横槍が入り、所轄の「瀬川」巡査長と組んだ「ヨミヅナ」は、「北村」が元科捜研職員によるDNAの不正操作の冤罪だと分かり、意外な犯人の結末に辿りつきます。
DNAをあつかったさくひんとしては、<機本伸司>の 「究極のドグマ」 や <誉田哲也>の 「黒い羽根」 などがありましたが、DNA情報の管理体制の怖さは、<東野圭吾>の 「プラチナデータ」 でも登場していますが、改めて同一人物であるという 絶対的証拠だけに、それを利用する国家権力の怖さを再認識させられる構成でした。