今年の読書(16)『王朝まやかし草子』諸田玲子(新潮文庫)
2月
27日
解説文から引用させていただきますが、「猟奇的な殺人事件を描くミステリーであり、皇位継承をめぐって公家が暗闘を繰り広げる宮廷陰謀劇であり、絢爛豪華な宮廷文化を描く王朝文学の側面があるかと思えば、貴族に虐げられた庶民や政争に破れた敗者の怨念を描く伝記小説としても楽しめる」という、一冊です。
舞台は平安時代、宮廷勤めだった母<近江>の不審死に関する疑問を解くために<弥生>は、女房として宮廷に入り込みますが、周囲で次々と怪死事件が起こります。都で知り合った若者の<音羽丸>と知識人の<楽天爺>と協力して、東宮と契った女はモノノケに取りつかれるという噂の真相を探りだしていくなか、母<弥生>の真実と、それに伴い<音羽丸>の父の冤罪が晴れていくという、壮大な時代絵巻の世界が楽しめました。