『日暮らし』(上)宮部みゆき(講談社文庫)
11月
19日
本書には4話が納められていますが、冒頭の『おまんま』では、扇子に似顔絵を描く人気絵師<秀明>が殺され、<平四郎>は米寿になる「回向院の親分」こと<茂七>から、関わった昔の事件を教えられ、すべて記憶している13歳の<三太郎>こと<おでこ>の昔の話から、事件を解決していきます。
<平四郎>が養子縁組を考えている藍玉問屋の13歳の美形の甥っ子<弓太郎>は利発で、彼と共に市井に生きる人々の事件にかかわっていきます。
母親の愛情の深さがよく出ていた『子盗り鬼』、<お徳>が「鉄瓶長屋」から「幸兵衛長屋」に転居したことで起こる、女の弱さがよく出ていた『なけなし三昧』、どれも秀逸な作品で面白く読み終えれました。