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- 今年の読書(75)『黒猫の接吻あるいは最終講義』森晶麿(ハヤカワ文庫)
刊行順的には<黒猫>シリーズ2冊目に当たりますが、(ハヤカワ文庫)としては、『黒猫の刹那あるいは卒論指導』 に次ぐ3冊目になります。
文庫本の前2冊は連作短篇集で、主人公24歳の大学教授で通称<黒猫>と、同じ唐草ゼミで<エドガ・アラン・ポオ>を研究している<私>とで、身の回りに起こる事件を解決していきますが、本書は長篇の推理小説でした。
24歳という同じ年齢ながらパリ留学を経て<黒猫>は大学教授、<私>こと「付き人」は<ポオ>の研究をしている博士課程一年生という微妙な関係の二人ですが、バレエ『ジゼル』を観劇中、第一幕でダンサーが倒れるという事件が起こり、プリマの<幾美>は舞台を降りてしまいます。
5年前の『ジゼル』が上演された際には、<幾美>の異母姉である<愛美>が、本物の短剣で自殺するという事件が起きていました。
「付き人」は持ち前の好奇心で、探偵よろしく事件を探り始めるのですが・・・。
いつもながら美学的な論述が文中に挿入され、<ポオ>の作品解釈を事件と絡めながらの手法は、見事でした。
留学していたパリのポーエイシス大学の恩師<ラテスト教授>が重体ということで、またもやパリに旅立つ<黒猫>ですが、「付き人」との二人の心の動きも楽しめる恋愛小説としても、今後の展開が気になるシリーズです。
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