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- 今年の読書(71)『メグル』乾ルカ(創元推理文庫)
巡り合わせというのは不思議とあるようで、過去に取り上げた<乾ルカ>さんの本を検索しましたら、デビュー作の 『夏光(なつひかり)』 が2012年度の(71)冊目でした。
本書には5つの短篇が納められており、どのタイトルもカタカナでまとめられています。
H大学の学生課奨学係のアルバイト紹介には、無表情な女性職員<悠木>が担当者として座り、窓口に来た学生たちになぜか各人の過去を見つめ直す機会を与えるべくアルバイトを世話していきますが、その決め台詞は「あなたは行くべきよ。断らないでね」です。
『ヒカレル』は古くからの因習として死後に手が硬直しないのはこの世に未練がある「引く手」といわれるもので、あの世に連れて行かれないように一晩中死人の手を握るバイト、『モドル』は父が入院した病院の販売店で商品の異例替え作業のバイト、『アタエル』は海外旅行に出かけているあいだの犬の餌やりのバイト、『タベル』はクローン病のために食べる楽しみがなくなった患者が作る料理を食べるバイト等、どれもが心に余韻を残す構成でした。
最後の短篇が『メグル』ですが、ここで<悠木>自身の過去にも触れられ、ミステリーチックな短篇として、心静かに読み終えることができました。
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