久々に、じっくりと書き込まれた385ページの時代小説の長編が楽しめました。
主人公<立原周乃介>は天明6年7月、江戸が大雨に襲われた夜半に、姉の三男で甥である<定次郎>を何者かにより斬殺されてしまいます。
<周乃介>は、刀剣の売買の仲介や一刀流道場の師範代、万調べ事や談じ事などを生業としているために市井に顔が広く、北町奉行所定回り同心<葛岡伊三郎>とのつながりで、岡っ引きの<久蔵>の手助けの下、<定次郎>の下手人探し始めます。
<定次郎>の身の回りを調べるうちに、米問屋<柏木屋仁三郎>に行き当たり、彼の不審な出自に疑問を持つと共に、<定次郎>が扇屋の遊女<沙羅>の身請け話などで金子が必要だったことがわかり、知り得た秘密で<柏木屋>を強請っていたのではないかと、さらに調査を進めていきます。
江戸の長屋「彦十店(げんじゅうだな)」に住む<周乃介>ですが、庶民の生活ぶりや、田沼意次の失脚などの政治事も織り交ぜながら、端正な文章で組み立てられた物語は面白く読み応えがありました。
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