『真夜中のパン屋さん・午前0時のレシピ』大沼紀子(ポプラ社)
6月
5日
経営者の<紅林陽介>は35歳、半年前に妻<美和子>を事故で亡くし、妻の夢だったパン屋を開くために、一回り若い職人<柳弘基>を雇い、真夜中から朝方のかけて営業する店を経営、自分も<弘基>にパンの仕込みを習うのですが、なかなかうまくいきません。
あるひそんな店に、<美和子>の腹違いの妹と名乗る<篠崎希美>が舞い込んできて、共同の生活が始まるなか、悲喜こもごもの人間ドラマが展開していきます。
真夜中に集まるお客さんはそれぞれに人生の悩みを抱えた人物たちが登場、<希美>の母との擦れ違いの家庭問題を基本に置き、少年<水野こだま>と母親の<織絵>、閉じこもり脚本家<斑目裕也>、ニューハーフの元ママ<嶽山大地>の脇役がいい人間味を出しながら、<陽介>や<弘基>の過去が横糸に絡まり、ほろりとする物語が楽しめました。