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- 今年の読書(106)『うさぎ幻化行』北森鴻(創元推理文庫)
著者は、2010年1月25日に山口市内の病院にて48歳で亡くなられていますが、待望の文庫化(2014年4月発刊)になるということで興味を持ち読みました。
父の再婚相手の連れ子である義兄<最上圭一>は音響技師ですが、義妹<美月リツ子(=うさぎ)>に謎めいた日本の音風景を残したまま、飛行機事故の墜落で亡くなってしまいます。
可聴領域の広い<リツ子>は、残された音源を頼りに、日本中を巡り歩く中、自分以外にも義兄が(うさぎ)と呼んでいた恋人の存在を知り、謎めいた遺書の文言の意味を探り始めます。
第一話から第九話まで収められていますが、繋がりの見えない音探しの中、最終章で思わぬどんでん返しが待ち受けており、読者を唸らせる構成は見事でした。
ただ、推理小説の基本である<全部の情報を読者にさらけ出す>という部分に関しては、納得のいかない部分があるかなと感じる読者がいても仕方ないかもしれません。
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