今年の読書(8)『冬の狩人』大沢在昌(幻冬舎文庫)
1月
25日
本書『冬の狩人』は、2020年11月18日に単行本として刊行され、2023年12月10日に文庫本として(上・下)2分冊として発売されています。
H県警刑事部捜査一課の未解決事件のメールボックスの担当者「川村芳樹」は、3年前に4人が銃殺された事件現場にいて、逃走している「阿部佳奈」から、出頭したいが新宿署の「佐江警部補」の護衛でないと困るとの連絡を確認します。
退職を決めていた新宿署の「佐江」は面識もない引退間近の中年刑事をなぜ指名するのかとわからないまま、H県警の新米刑事「川村」と組み、女と接触をはかりますが、情報が漏れ、接触場所のホテルではやくざ組織の殺し屋に狙われてしまいます。
最終的に事件の起こったH県本郷市での接触を試みますが、またも重要参考人の「阿部佳奈」は、命を狙われますが、寸前のところで「佐江」に助けられ、警察への聴取は拒まれてしまいます。
文中、「佐江」と「川村」が出向くバー「展覧会の絵」で、著者の代表作で私の大好きな『新宿鮫』シリーズに関する描写があり、鮫島刑事ファンにはニヤリとさできるサービスが楽しめました。
上巻(374ページ)としての前編が終り、下巻(388ページ)の後半に続きますが、小気味よいテンポの描写が続き、長さを感じさせません。