今年の読書(89)『談志のはなし』立川キウイ(新潮新書)
11月
16日
本書『談志のはなし』(2021年10月18日刊)は、没後10年の企画でもあり、<立川談志>の15番目の弟子として、16年の間前座であった<立川キウイ>の二つ目昇進までの出来事を師匠愛を軸にして綴られています。
「情報を疑え、常識を疑え、地球儀なんぞ信用するな。新聞で正しいのは日付だけだ」。〈最後の名人〉と謳われた<立川談志>の破天荒な活躍は落語界に留まらず、多くの著作や音源で金言・名言、芸論等を遺してきています。
没後十年の節目に、高座などでは分からない「普段の談志」をもっと知って欲しいと前座生活十六年半。弟子の中で一番長く談志と時間を共にした<立川キウイ>だからこそ知る、笑いはもちろんホロリとさせるエピソードが満載のエッセイ集です。
<談志>の師匠<小さん>師匠をはじめ落語家や一門の弟子の登場は当たり前として、<古舘一郎>・<ビートたけし>・<高田文夫>・<ピコ太郎>・<いかりや長介>・<志村けん>・<中村勘三郎>といった大御所や<手塚治虫>・<赤塚不二夫>といった漫画家との裏話、2016年に閉店しています行きつけの「バー美弥」の話題など、意外な一面が垣間見れて楽しめました。