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- 今年の読書(71)『かがみの孤城(下)』辻村深月(ポプラ文庫)
『かがみの孤城(上)』に続いて『かがみの孤城(下)』です。
前巻(上)では、鏡の中のお城に集められた不登校の7人が同じ中学校だとわかり、3月期の始まる始業式には、みんなで登校しようというところで終わっていました。
予測できたことですが、始業式に出向いた「こころ」は、誰とも会うことができませんでした。逃げ込んだ保健室の先生は、仲間の名前を言ってみても、「そんな生徒はいない」との返事でした。
改めて鏡の中の城に出向いた時の話し合いで同じ中学校に通っているのですが、パラレルワールドの住人ではないかと妙に納得するメンバーたちでした。
願いが叶う鍵が見つからない中、ある日「こころ」の部屋の鏡が大きな音共に爆発、「アキ」が城の門限の掟を破り、メンバーたちが連帯責任で狼に食べられるという事態が起こり、「アキ」は、狼少女は『赤ずきんちゃん』ではなく『七匹の子やぎ』の方だと気づき、「願いの鍵」をついに見つけるのですが、自分の夢を叶えることなく、「アキ」をはじめメンバーの命を助ける願いを託します。
ネタバレになりますので詳細は省きますが、(上)巻が少し退屈な進み具合でしたが、著者の計算された伏線が見事に散りばめられており、後半の「閉城」の章から「エピローグ」にかけては、「なるほど本屋大賞作品だな」と唸らせる見事な展開で、ミステリーファンタジーともいえる心地よい読後感を残してくれました。
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