今年の読書(49)『夢を売る男』百田尚樹(幻冬舎文庫)
6月
30日
読書離れ、本離れが言われて久しいですが、その実態をベースにした物語が展開していきます。
主人公は、「丸栄社」の編集部長を務めている大手出版社の編集部勤務の経験がある「牛河原勘治」45歳です。
現代人のいびつな個人での出版欲望を逆手にとり、彼らの欲望を満足させることでベストセラー作家としての「夢を売り」、印刷代と称して金を稼ぐ裏面の出版業界が、コメfディータッチで描かれていきます。
大物になることを夢見ている27歳のフリーター、自分の教育論を世に問いたい教育ママの主婦、自分史を残したい団塊世代の男たち等が、登場してきます。
「小説を書く奴なんて、たいてい頭がおかしい」、また、「テレビ屋(著者は元放送作家・『探偵!ナイトスクープ』のチーフライターを25年以上務めた)の百田何某みたいに毎日違うメニューを出す作家も問題だ」と「牛河原」に語らせていますのには、笑いました。