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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(36)『友罪』薬丸岳(集英社文庫)

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2013年5月2日に集英社より刊行された本書『友罪』は、2014年第35回吉川英治文学新人賞候補作になっています。2015年11月20日に同じく集英社から文庫本が発行されています。

ジャーナリストにあこがれる<益田純一>27歳は、雑誌の取材方針を巡って編集者と暴力沙汰を起こしてしまい、首になり生活に困窮していました。日雇い生活を繰り返す中、社員寮のある町工場に職を得るようになります。同時期に<鈴木秀人>という同年齢の男性と共に試用期間に入った<益田>は、慣れない機械仕事に悪戦苦闘。 一方、<鈴木>は溶接などの資格を持っていて不愛想ですが即戦力ともいえる人材でした。

<益田>は中学生時代に友人がいじめを受け自死したことに、罪の意識を感じていました。 ギリギリまで友人の側にいた<益田>でしたが、最後の最後でいじめる側に回ってしまい、その直後に友人は自ら命を絶ってしまいました。 そのことから今でも友人の母のもとを訪ねたりしています。

一方の<鈴木>は、仕事からの帰り道に<達也>という男から追いかけられている工場の事務員<藤沢美代子>と出会います。 彼女はかつて<達也>に騙され、アダルトビデオに半ば強引に出演させらた過去があり、<達也>から逃れるために人目を避けるように暮らしていましたが、<達也>が見つけ出し過去のアダルトビデオ出演の件で強請りに来ていましたが、<鈴木>は<達也>を追い帰します。このことがあり、それぞれの暗い過去を持つ<美代子>と<鈴木>は気持ちを寄せ合います。

ある日、作業中に<益田>は指を切断する事故を起こし、重傷を負います。 しかし、<鈴木>の冷静な対応で、無事に縫合処置ができますが、<鈴木>は切断された指の写真を撮影していました。

入院中の<益田>の元へ<鈴木>の親戚だと名乗る<白石弥生>(矯正局の職員)が接触することにより、<益田>は<鈴木>が14年前に神戸で起こった連続児童殺害事件の犯人でないかとの疑惑を抱きます。

もともとジャーナリズム志望の<益田>は<鈴木>について調べ上げ、犯人の「少年A]であることを確信、週刊誌に暴露記事を書くのですが、本人をはじめ周囲に「少年A]であることが分かり、<鈴木>は社員寮から姿を消してしまいます。

「もしも身近にそばにいる友人が、かって重大な犯罪を起こした人物ならどうするか」という重い命題を軸に、<益田>・<美代子>・<白石>などの登場人物の視点を通して今の<鈴木>の描写が語られますが、<鈴木>自身の心情の表現はなく、読者にゆだねられています。

解説文を含め599ページという長編でしたが、残りページが近づくにつれ終結に期待が高まる一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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birdy
birdyさんからコメント
投稿日 2019-05-02 21:13

すごぉ~い!
引き込まれそうです

ワオ!と言っているユーザー

ファルコン
ファルコンさんからコメント
投稿日 2019-05-02 21:23

神戸で1997年5月に起こった「神戸連続児童殺傷事件」をベースにした内容だけに、わが身ならと考えさせながら最後まで重たく読み進めました。読後感は読み手それぞれに違いが出そうな作品だと思います。

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