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- 今年の読書(157)『月は怒らない』垣根涼介(集英社文庫)
市役所の戸籍係に勤める<三谷恭子>は26歳、子供の頃の原体験により金にも物にも固執しない性格で、相手に対しても何も期待しない生活を送っています。
そんな彼女に、戸籍の売買を生業としているヤクザっぽい34歳の<梶原彰>、21歳の大学生<小倉弘樹>、市役所前の交番に詰めている33歳の<和田警部補>と三人の男が心惹かれ、やがて四角関係が露見、平穏な生活に乱れが生じてきます。
一人になりたいときに公園に出向く彼女は、昔の記憶は確かなのですが新しい記憶は一週間持たない「短期記憶障害」の老人と知り合い、元教授らしき彼から「人の生き方」を学んでいくのでした。
読み始めは<恭子>の生き方に疑問を感じていましたが、元教授の会話を通して「人の生き方」という難題に真っ向から取り込んでいく姿と、ヤクザっぽい<梶原>が「生き方」を変えていく場面は感動ものでした。
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