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- 今年の読書(139)『阿佐ヶ谷ラプソディ』又井健太(ハルキ文庫)
新刊本や番号が打たれたシリーズモノは、順番に読んでいればその著者の作品が順に読むことになりますが、書き下ろしでない文庫本の場合、必ずしも過去の発行順でなない場合が大様にしてあります。
この著者の場合 『新小岩パラダイス』 で「第三回角川春樹小説賞を受賞して作家デビュー、本書が2冊目になりますが、文庫本になったのは本書が先でした。
世界放浪の旅から帰国した30歳の<蔵川楽観>は、日本に着くなり早々、酒に酔って荷物を失くし、無料クーポン券付きのチラシに惹かれて阿佐ヶ谷のバー<ラプソディ>にたどり着くところから物語は始まります。
バーには自称発明家のマスター<八村>がいて、バーテンの経験を買われてその日から住み込みで働くことになります。
バーには、東大出身の34歳の自称作家の<川島>や歌手を目指す<リリー>など風変わりな常連客がいますが、<楽観>は彼らと共に阿佐ヶ谷で行われようとしている再開発反対の行動を起こしていきます。
<命に別状なければ、なんも問題がない>という心情の<楽観>と、個性的な登場人物たちとの交流をコミカルに描き、人生は捨てたもんじゃないという著者のメッセージがよく伝わる一冊で、奇想天外な進行でありながら楽しめました。
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