『県立コガネムシ高校野球部』永田俊也(文春文庫)
8月
10日
ニューヨーク在住から東京大学を卒業、今でははITビジネス界の新進実業家となった30歳の<小金澤結子>はプロ野球球団のオーナーになろうとしますが、<百川勘太郎>に拒否され、彼の孫が通う甲子園出場常連校の「長野光陵学園」を倒す執念のため、金銭にモノを言わして「佐久沼高校」の野球部長に納まります。
指導方法は<結子>がビジネス業界で培ってきた経験と知識を駆使して、キャプテンの<菊池昇平>やエースの<熊谷辰雄>、マネージャーの<池野あずみ>などを巻き込みながら、県大会へと進んでいきます。
スポーツマン根性と真っ向から反するような指導方針が続きますが、やがて<昇平>たちは<結子>の考え方に同調、見事決勝戦まで登り詰め、ユーモアと人情味を交差させながら、優勝候補の「長野光陵学園」との手に汗握る試合展開にのめり込める一冊でした。