『中野トリップスター』新野剛志(新潮社)
9月
20日
組としてのシノギは、韓国のスリ団の宿泊手配での利ザヤ稼ぎです。
本書には連作短篇として5話が納められていますが、韓国スリ団のトラブル処理に走り、またスリ団が盗んできた心霊写真の持ち主に返す仕事を請け負わされたり、添乗員として団体旅行に参加、また韓国語通訳の<中村千栄>のわけあり人生に関わるなど、<山根>の悪ぶっているけど実はお人好しで人情味があるがゆえ、暴力団員としては出世ができない行状が、笑いと涙で綴られています。
暴力団の絡む物語としてはドタバタな抗争もなく、最終章は<山根>の行動からは驚きの出来事が起こりますが、面白く読み終えれました。