『年少日記』@<ニック・チェク>監督
6月
1日
痛みと後悔を抱える高校教師が少年時代の日記をきっかけに記憶をたどっていく姿を通し、苛烈な競争社会における子どもたちの痛切な現実を浮き彫りにした2023年香港製作の『年少日記』が、2025年6月6日より公開されます。
高校教師の「チェン」が勤める学校で、自殺をほのめかす遺書が見つかります。そこに記されていた「私はどうでもいい存在だ」という言葉は、少年時代の「チェン」が日記につづったものと同じでした。遺書を書いた生徒を探すなかで、「チェン」は自身のつらい記憶をよみがえらせていきます。
厳格な父のもとで育った、出来の悪い兄と優秀な弟。親の期待に応える弟とは違い、勉強もピアノもできない兄はいつも叱られ、しつけという名の体罰を受けていました。家族に疎外感を抱く兄は、日記をつづりながら自分の将来に不安を募らせます。
主演は『ある殺人、落葉のころに』などに出演し、監督・撮影監督としても活躍する<ロー・ジャンイップ>です。本作が長編デビューとなる<ニック・チェク>監督が巧みな構成と細やかな表現で描き、2023年・第60回金馬奨にて観客賞と新人監督賞を受賞した作品です。