冥王星の「地下海」の存在@北海道大学研究チーム
5月
22日
「地下海」は土星や木星の衛星にもありますが、極寒の冥王星でも液体の水が維持できる仕組みが解明されると、地球外生命の可能性がより広がることになるといいます。
2015年7月に最接近した米探査機「ニューホライズンズ」による観測から、冥王星は表面を覆う氷の地殻、その下に「地下海」、中心に岩石核があると考えられています。岩石核に含まれる放射性物質が熱源になりますが、太陽から遠く離れた冥王星の表面温度は零下220度と低く、「地下海」が凍らない理由は分かっていませんでした。
北海道大の<鎌田俊一>准教授らは、低温・高圧環境でメタンが水と結合して結晶化する「メタンハイドレート」が氷に比べ、熱が非常に伝わりにくいことに着目。岩石核内の有機物から供給されたメタンが氷の地殻と地下海の境界にメタンハイドレート層をつくると仮定し、冥王星誕生から現在までの約46億年間、内部の温度変化をシミュレーション計算しました。
その結果、ハイドレート層がないと10億年近く前に「地下海」は凍結しますが、存在する場合は「断熱材」として働き、ほとんど凍結しないことが判明しました。表層の氷はすぐに冷え切って固くなり、観測されたように不均一な厚さになることも分かっています。