今年の読書(58)『濁流資金』濱嘉之(文春文庫)
5月
10日
仮想通貨の取引をしている「京都ゴックス」の社長<武田良一>が銃殺される事件を発端に事件は始まります。
前作の事件で功績のあった<青山望>を含むノンキャリアの同期カルテット4人は、それぞれ重要な部署に配置換えされ、<青山>は公安部公安総務課に復帰、警察内の情報を一望できる部署で持ち前の能力を発揮していきます。
「京都ゴックス」の捜査にからみ、政財界のホープたち11人が次々と不審死で亡くなる事件が気になる<青山>は、仮想通貨を利用してマネーロンダリングする組織の存在を確信、やがては元暴走族グループの<神宮寺武人>や元広岡組の引退した経済ヤクザ<清水保>に焦点を当てていきます。
警視庁と各県警、捜査部門と公安、キャリアとノンキャリアといった対比も面白く、今後の中国マフィア絡みの展開が楽しみなシリーズです。