『天女湯おれん』諸田玲子(講談社文庫)
12月
23日
再建に際し<おれん>は、湯船の裏側に隠し部屋を設け、金に困ったり性生活の不満を持て余した女たちを、その部屋で大店の金持ちに引き合わせて身体を売らせるという裏稼業を営んでいます。
従業員たちも元役者で三助の<弥助>や、牢番頭の<与平>と女房の<おくめ>は、裏稼業のこともあり、叩けば埃の出る人たちです。
そんな「天女湯」を舞台に、辻斬り事件や脱衣所で起こる盗難事件、競争相手の「大黒湯」との揉め事などが起こる中、恋心を寄せるお家騒動で名乗らぬ武士との淡い恋物語を絡ませながら、江戸の風俗を面白くまとめ上げている一冊でした。