本書は東京湾北部、埋立地の「お台場」と呼ばれる島を中心とする臨海副都心部が直下型の地震を受け、東京は絶滅的な打撃を受けてから4年後が舞台となっています。
ある日、元刑事の<巽丑寅>は、黒人の少年<丈太>と出会い、震災直後に姿を消していた無国籍と呼ばれる子供たちが、急に街で見かける機会が多くなったことに興味を持ち、元上司である少年課担当の<鴻池みどり>に話しを持ちかけます。
その頃の東京は、若くして都知事になった<岩佐紘一郎>が復興という名目で、なぜか「お台場」を完全に封鎖し、軍隊まがいの「国土復興協力隊員」を創設、都民が立ち入らないように監視下に置いていました。
震災後に生まれた貧富の差のある生活環境と、不法滞在者の子供として無国籍な子供たちの立場を縦軸に、殺人事件を追う<みどり>の捜査を横軸として、また<岩佐>を取り巻く政治的陰謀とが絡み合い始めます。
文庫本549ページと少し厚めでしたが、第30回横溝正史ミステリー大賞受賞作として、弱者に対する社会問題を考えさせられると共に、近未来小説として楽しめました。
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投稿日 2014-04-23 09:54
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2014-04-23 22:03
ワオ!と言っているユーザー