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- 今年の読書(49)『矢上教授の午後』森谷明子(祥伝社文庫)
主人公の<矢上>は、タイトルでは「教授」となっていますが、実際は70歳のミステリーファン、生物総合学部の担当の日本古典文学担当の非常勤講師です。
舞台は夏休み中のとある大学の取り壊し寸前の5階建ての研究棟が、大雨と落雷で停電、エレベーターも止まり携帯電話も使えない中、非常階段も開かない状況で、見知らぬ男が殺されているのが発見されます。
民族楽器の破損、表彰状の入っていた筒だけが見つかるなど、一見何気ない些細な事件が導入部から続き、読み手側としてどう展開するのか疑問に感じながら読み進めましたが、最後に一本につながる構成はなるほどと「生物総合学部」を舞台にした意味合いが理解できました。
密室殺人事件を大きくとらえた研究棟全体の登場人物たちの行動を、昼過ぎの落雷停電から事件解決までの半日が、計算されつくした構成で楽しめました。
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