今年の読書(14)『隻眼の少女』麻耶雄崇(文春文庫)
1月
22日
同じ温泉宿に泊まっていたのは、名探偵の誉れ高い<御陵(みささぎ)みかげ>の娘で、母と同じ探偵を目指す修業中の隻眼の少女とその父親でした。
殺された少女<春菜>は、千年以上昔、村に現れる龍を退治したとされる<スガル>の直系で、琴折家の三つ子のひとりの長女でした。
女系家族を中心とした琴折家を舞台として<スガル>伝説が絡み合わうなか、<みかげ>は<静馬>を助手として捜査に乗り出すのですが、二女・三女と<スガル>を継がなければいけない子供たちが殺され、また<みかげ>の父親も事件に巻き込まれ殺されてしまいます。
物語は18年の時を経て二部構成を取り、推理小説ファンなら「こうなるのだろうと」と予測をしている通りの展開になります。「なんだやはり・・・」となるのですが、二転三転のおもわぬどんでん返しが待ち受けています。
日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した構成力、なるほど思わせる500ページでした。