今年の読書(42)『たそがれ歌麿』佐伯泰英(新潮社文庫)
4月
5日
前作で江戸に戻った<大黒屋総兵衛>は、川を挟んだ向かい側の炭問屋「栄屋」の屋敷を買い取り、古着市の会場に使う算段をしながら、橋の架け替えに乗じて二つの屋敷を繋ぐ秘密の通路の算段を進めていました。
そんな折、大目付<本庄義親>邸に赴いた際、居候をしている浮世絵師<北川歌麿>なる人物を紹介されます。屋敷から帰宅中に<総兵衛>は、<歌麿>と間違われ、何者かに襲われます。
橋の架け替え工事が進むなか、江戸に未曾有の野分(台風)が襲い、江戸の町は大被害を受けてしまいます。
町の復旧に奔走する<総兵衛>ですが、<歌麿>が将軍<家斉>を揶揄するような浮世絵を描いているとの知らせを受け、関わった<本庄>の身を案じ、<歌麿>を探し出すべく「影」として動き出します。
実在の浮世絵師<歌麿>を物語にうまく取り込みながら、幕府の「影」としての裏の貌の活躍で、無事に事なきを得た<総兵衛>でした。