今年の読書(79)『残月』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)
6月
21日
前作では吉原の大火(1816:文化3年)にて、翁屋の料理人<又次>が<あさひ太夫>を助け出しますが、自らは助かりませんでした。
<又次>を偲んで「つる家」の一同は、彼の初盆を迎えるに当たり、世間で流行の疫痢(疾風)で子供をなくした親たちのためにもと、「三日精進膳(面影膳)」を提供、客からも喜ばれます。
そんなある日翁屋の<菊乃>から、<芳>が探している息子<佐兵衛>と思われる人物の情報を得て親子の再会を果たすことができましたが、<佐兵衛>はもはや「天満一兆庵」としての料理屋を再建することは望んでいませんでした。
一流料亭の「一柳」の主人<柳吾>と、家を飛び出して版元ととなった<坂村堂>にも親子の確執があり、心労から<柳吾>は倒れ、<芳>が看病することになってしまいます。
戯作者<清右衛門>は、「つる家」の主人<種市>に<澪>と<あさひ太夫(野江)>との関係を教え、翁屋が仮宅での廓営業が終える頃に、<澪>を「つる家」から解放してくれるように依頼、<澪>は新しい料理の道を歩むべく、<又次>が料理の基本を教え込んでいた<ふき>に、引継ぎを考えて料理を教え込んでいきます。