《“泉の森・・野草花”❖2021/3/20❖》 カンスゲ(寒萓); 冬でも緑の葉を枯らすことのない常緑多年草なので寒萓と呼ばれ、 春になると先端に雄花、下に雌花を付ける。樹木の陰などに顔を見せる。 根茎は、短く広がらず、葉を叢生し匐枝は出さない。基部の鞘は光沢のない黒紫色。 葉は線形で硬く幅6~15㎜、断面がM字形とならず、脈が明瞭、葉縁の小刺は鋭い。 葉の間に多数の花茎を出し、茎頂に雄花穂を1個付け、その下に雌花穂を数個付ける。 仔細観察略。昨年は、4月1週に開花を確認。 「令和参年(皇紀2681年)3月20日、記」
《“泉の森・・野草花”❖2021/3/19❖》 オキナグサ(翁草); オキナグサは、耐寒性で山野の草原に見え、全体が白い毛に覆われている。 根は太く、根出葉は束生。長い葉柄があり2回羽状複葉。小葉は深裂し欠刻する。 花茎の高さが10cm前後で開花するが、花後、伸びて30~40cmにもなる。 花は1個が頂生し、鐘形で下向きに開く。花弁に見えるのは萼片であり真の花弁はない。 花柱は長さ3~4cmになり、約3mm。花は暗赤紫色で、横向きまたは下向きに咲く。 花後の白く長い花柱を持つ痩果の姿を老人の白髪に見立てた。絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 『万葉集』に、 芝付(しばつき)のみうらさきなるねつこぐさ あひ見ずあらばあれ(我)こ(恋)ひめやも (14/3508,読人知らず) 「根都古(ねつこ)草」は、一説にオキナグサであるとされる。 「美宇良(みうら)埼」とは、神奈川県の三浦三崎周辺に由。 「令和参年(皇紀2681年)3月19日、記」
《“泉の森・・低木の花”❖2021/3/11❖》 アンズ(杏); モモ の花と比べると薄い赤。原産はヒマラヤ西部。 中国で梅と交配されたものが、奈良時代に日本に渡来したと言われる 耐寒性があり、涼しい地域で栽培され、アーモンドやウメ、スモモと容易に交雑する由。 桜よりもやや早く淡紅色の花を咲かせる。周りの緑との対比、なんとも云えぬ風情だ。 幹は赤褐色、縦に割れ目が入る。新枝は紫褐色。葉は互生し、卵円形~広楕円形。 葉先が短く尖り、基部は楔形~広楔形、縁には不揃いの細かい鈍鋸歯がある。 葉裏の脈腋に毛がある。葉柄は長さ2~3㎝、蜜腺が葉柄にあるか又は無い。 花は普通、2個つき、葉の展開前に開花する。花は、3㎝位。淡紅色の5弁花。 花弁の先は円形。雌蕊1個。雄蕊多数。萼は紅紫色、萼片は広惰円形で反り返る。 果実は直径約3㎝の核果。水分を多く含み中に種が1つある。アプリコットジャム美味だ。 「令和参年(皇紀2681年)3月17日、記」
《“泉の森・・林床”❖2021/3/11❖》 泉の森で足を踏み入れていなかった場所で出会った小さな花。 ヘビイチゴ(蛇苺); 田圃の畔や道端など、やや湿ったところに生え、茎は地を這い節から根を出して増える。 葉は黄緑色で3小葉。小葉は長さ3cm前後。葉腋から長い柄を出し黄色花を1個つける。 花は直径1.5cm位。副萼片は萼片より大きく、先は3裂し、長い毛がある。 近似種にヤブヘビイチゴがあるが、花が直径約2cmと大きい(但し、判別は難しい)。 ヒメヘビイチゴは小葉が長さ0.5〜1.5cm、花は直径7〜8mm、葯は赤紫色。 近日の遺伝子解析の結果、ヘビイチゴはキジムシロ属に非常に近いと判明した。 ヘビイチゴ属 Duchesneaからキジムシロ属 Potentillaに変更された(2008年)。 「令和参年(皇紀2681年)3月16日、記」
《“泉の森の中”❖2021/3/11❖》 泉の森、今年は普段余り歩かない所を歩いているのだが、 初見の植物、結構あるものだ。 オウトウ(桜桃); サクラ の花だが、サクランボの花。種類は、ナポレオン、佐藤錦、日の出、黄玉等。 花色は白が多いが、ピンクもある。中国原産シナミザクラ系のセイヨウミザクラが原種。 オウトウは、明治時代にヨーロッパから渡来した耐寒性落葉高木で、別名サクランボ。 甘酸っぱい果実で高価な果実として人気があり、春に開花、桜に似る5弁花で白色。 “桜桃”と云えば、作家・太宰治を思い起こす。太宰が入水自殺したのは昭和23年。 1948年6月13日で遺体発見が6月19日。奇しくもその日が太宰の誕生日であった。 太宰の作品『桜桃』を冠って「桜桃忌」、毎年、太宰の墓所で6月19日に集まりがある。 没後70年以上も経っているのに全国から多くの太宰ファンが集う。感慨ある。 言葉って面白い。木は「おうとう」、実は「さくらんぼ」、加工されると「チェリー」等と呼ぶ。 植物・ 学術分野では、木も実も「おうとう(「さくらんぼ」)」と呼び、「さくらんぼ」とは呼ばない。 「さくらんぼ」とは、果実として商品化されたものだが、「さくらんぼ」=「桜桃」とは思わない。 「令和参年(皇紀2681年)3月15日、記」
《“泉の森の中”❖2021/3/11❖》 泉の森は、未調査の場所、調査中の植物が多々ある。興味深い森である。 散策路から獣道的道を進むと可愛い植物と出会える。 アブラチャン(油瀝青); クロモジ属の仲間なので クロモジ と良く似ている。変わった名前だが、実から油が採れる。 チャン(瀝青)とはアスファルトを敷く前に散布する瀝青(タール類、ピッチ)にゆらいする。 山中のやや湿った所に生える。萌芽しやすく、株立ちになる。丹沢山地で良く見かける。 樹皮は灰褐色で滑らか、小さい皮目が多い。クロモジ属の特徴、枝を折ると良い香りがする。 枝には油分があり、生木でも良く燃える。また粘り強い。 葉は互生、葉身は卵形または楕円形で急鋭尖頭、縁は全縁。葉柄は赤味を帯びる。 雌雄異株。3~4月、展葉に先立って、淡黄色の小さな花を、散形状に付ける。 雌花序には3~4花付き、花被片が6個、葯の無い雄蕊が6個、雌蕊が1個、子房は球形。 雄花序には3~5花付き、花被片が6個、雄蕊が9個あり、子房は退化してほとんど無い。 レンプクソウ(連福草) ; 枝が根のように地下を這って伸び、枝を掘り起こしたらフクジュソウ が一緒についてきた、 とか、その逆というのが名前の由来。 緑色の花が数個、茎の頂に固まり、上向きの頂花は4数の花びらで、周りは5~6枚。 花が5個まとまってつくことから、別名はゴリンバナ(五輪花)。 林内に生える高さ8~12㎝の多年草。 白色の細長い地下茎を伸ばし先端に小さな地下茎を作って増える。 花は黄緑色で直径4~6㎜。 花が4個背中合わせになり、更に真上にも1個つき5個の花が、立方体の不思議な花。 花の詳細は略。この植物の所属の変転が面白い。 旧分類体系である新エングラー体系やクロンキスト体系では、 レンプクソウ科に属する日本の植物は、「レンプクソウ」ただ1種のみだった。 世界には、中国の固有種1種しかなく、合わせてたった2種から成る科であった。 遺伝子解析による分子系統学が発展、植物分類体系も遺伝子解析での分類が主流になる。 この分類を用いた学者団体が、被子植物系統グループ (Angiosperm Phylogeny Group)。 その分類体系は「APG体系」や「APG分類体系」などと呼ばれている。 APGでは、旧分類体系でスイカズラ科に含まれていた木本のガマズミ属やニワトコ属などを、 レンプクソウ科に含めることにした。これによりレンプクソウ科は2種から、200種余りになる。 その後、紆余曲折があり、ガマズミ科( Viburnaceae )とレンプクソウ科( Adoxaceae )の学名は、 それぞれ1820年と1839年に発表されているが、より古い名称に優先権があるので、 ガマズミ科を用いることが決まった(2017年7月の国際植物学学会)。 引用元:「新しい植物分類体系」 伊藤元己・井鷺裕司 著 文一総合出版 2018.7.31初版第2刷 「令和参年(皇紀2681年)3月14日、記」
《“泉の森の中”❖2021/3/7❖》 泉の森は、中々に植生濃い場所。森の中に多種多様な樹・野草が見られる。 散策路から獣道的道を進むと可愛い植物と出会える。 フッキソウ(富貴草) ; フッキソウ(富貴草)、名前からすると気品ある豪華な花を想像してしまうが、、、! 森のなかでひっそりと静かに花を見せる。花より常緑の葉を思った樹名のようだ。 更には、草と命名されているが、ツゲ科の植物で派な樹木。 常緑、一年中緑の葉を広げている繁栄につながる、と富貴という名がついた由。 そんなことからか、公園や社寺の庭でよく見かける。春を感じさせる花って思う。 茎はやや太く下部は地を這い根茎のようになり、上部は直立、 雌雄同株。 葉は厚く、密に互生、長さ5cm~、幅4cm位で卵状楕円形または菱状倒卵形。 葉の質は革質、葉先の半分には粗い鋸葉がある。茎頂に長さ3㎝前後の花をつける。 直立した花序に雄花が茎の上部に密につき、その下に雌花が5〜7個つく。 雄花にも雌花にも花弁はなく、4個の広卵形の緑色の萼片と小さな苞がある。 雄蕊4個、花糸は太く白色、葯は紫褐色。雌花は花序下部に4~6個、花柱は白色で2個。 タチツボスミレ(立壺菫); タチツボスミレはスミレ科、スミレ類の中で山野に最も普通に見られるスミレ。 茎は枝分かれして株を作り、高さ5~15㎝、花後は30㎝にもなる。 葉は心臓形で長さ3㎝前後。花はふつう淡紫色で早春から咲き始める。 タチツボのツボは、線引きに使う大工道具の墨いれに似ると云う説がある。 有茎類と言われるように花の終わった後には30cmも茎が伸びる。 葉は、長さ幅ともに1.5~2.5㎝の心形~扁心形で縁に低い鋸歯がある。 花茎は咲き始めはほとんどなく、花期には6~10㎝、花が終わってから高く伸びる。 花茎や花柄は無毛。托葉は鱗片状、櫛の歯状に細かく深裂する。 花は淡紫色、側弁の基部は無毛。距は細く、長さ6~8㎜。花は匂わない。 ニオイタチツボスミレやナガバタチツボスミレより花の色が薄いのが普通である。 個体数が多く、色々な品種や変種に分類され、茎や葉が多様に変化してる。 「令和参年(皇紀2681年)3月13日、記」
《“泉の森・調整池付近”❖2021/3/7❖》 近間の・・・散歩に調度良い所の泉の森。森のなかには大和水源地があり、 湧き水(源泉)は、源泉地、引地川の源流であり、災害防止の調整池もある。 里山的森林公園として整備されて久しい。数十年を以って自然植生に近づいた。 42ヘクタール程の森には、200種以上の植物種が観られる(実際に確認した)。 シラカシ自然林は、見応えある。調整池上に木製の斜張橋「緑のかけ橋」もある。 そんな場所に植栽された樹々、今の季節は余り彩りが見られないのだが、 ナツミカン(夏蜜柑)とサンシュユ(山茱萸)が生き活きと魅せてくれていた。 ナツミカン(夏蜜柑); ミカン・キンカン・ダイダイ等の柑橘系に属する。 ナツミカンは酸味が強い。 山口県で最初に作られた栽培品種で、現在は、各地で栽培されている。 江戸中期、山口県長門市の青海島に漂着した文旦系柑橘種から夏蜜柑が生まれた。 原木は現存し、天然記念物に指定されている。 サンシュユ(山茱萸); 葉より先に黄色い花をつけるサンシュユは、黄色というより黄金色。 江戸時代に薬用として導入された。寺院や公園、庭などによく植えられている。 キブシ(木五倍子); 名前の由来は、実を染料の原料である五倍子(ふし)の代用として使ったことによる。 藤に似ているのでキフジ(黄藤)とも呼ばれている。 「令和参年(皇紀2681年)3月10日、記」
《“泉の森・小径の樹花”❖2021/3/5・7❖》 ウグイスカグラ(鶯神楽); ウグイスの意味は、鶯の鳴く時期で、神楽は、「鶯隠れ」が変化したとの説がある由。 葉柄(葉を支える柄の部分)の付け根に2枚の葉柄が冬芽を取り囲むようにつき、 拓葉(葉柄につく葉状片)のようになっている。こうした解説は素人(私)に優しい。 幹は灰褐色、樹皮が縦に裂けて剥がれる。葉は対生し、広楕円形で無毛又は有毛。 葉裏は緑白色。枝先の葉腋に花を1~2個つける。花冠は漏斗形、先が5裂し平開。 雄蕊は、5個。雌蕊は、1個。花柄は長さ1~2㎝。 葉や花冠などに毛がほとんどないものをウグイスカグラ var. glabra 、 毛が多いものをヤマウグイスカグラ var. gracilipes との記述もあるが、見極め困難。 ミヤマウグイスカグラは萼に腺毛があると云われるが!?! ウグイスカグラ、ヤマウグイスカグラ、ミヤマウグイスカグラは、日本固有種。 泉の森散策小径では、極普通に観られるが、地味で目立たない。 「令和参年(皇紀2681年)3月9日、記」
《“泉の森の小さな花”❖2021/3/5・7❖》 ミスミソウ(三角草); 早春に雪を割るようにして咲くので、雪割草という名前が付いたとあるが??? 古く、江戸時代から栽培されている園芸品種で種も多く紅色、青紫色、白色等、多彩。 中には、雄蕊が花弁状に変化したものもある。 西欧にはvar. nobilis (European hepatica)と var. pyrenaica(H. pyrenaica Pyrenees)、 日本にはvar. japonica(ミスミソウ)とvar. pubescens (スハマソウ)が分布自生している。 葉は、三角形で3浅裂し長い柄があり裂片の先が尖っている。 花は直径1㎝位、花柄の先に1輪つく。花弁に見えるのは披針形~卵状披針形の萼片。 萼片は6~10個つく。萼片に見えるのは3個の総苞片。雄蕊は多数、葯が白色~淡紅色。 スハマソウは葉の先が円くなり、ミスミソウの品種として区別されている。 オオミスミソウ form. magna はミスミソウの品種。 本州(山形県以南)の日本海側に分布する。 花が直径2~3㎝と大きく花色も淡紅色など変化が多い。 スハマソウ var. pubescens は本州(近畿以西)、四国に分布する。 洲浜草(すはまそう);葉の形が、祝いの席に飾る島台の”州浜”に似ている事に由来する。 昨日(3/7)も散歩の折、眺めに通ったが、天候が悪いからか??花は、しぼんでいた。 「令和参年(皇紀2681年)3月8日、記」