日本のアジサイ;
1. ガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. normalis
基本種のガクアジサイは伊豆諸島、三浦半島の海岸、伊豆半島西岸に分布。両性花、装飾花とも青。
a. アジサイ(ホンアジサイ) Hydrangea macrophylla f. macrophylla
ガクアジサイの両性花がほとんど装飾花になったもの。テマリ型
b. セイヨウアジサイ(ハイドランジャ) Hydrangea macrophylla f. hortensia
日本から渡った様々なアジサイをヨーロッパで改良したもの。園芸種多数。
c. 石化八重アジサイ Hydrangea macrophylla f. domotoi
日本の古品種。茎が帯状になる帯化で花は塊のような八重花。「十二単衣」
d. ウズアジサイ Hydrangea macrophylla f. concavosepala
日本の古品種。ガク片がまるまってカップ状にへこんだ形をしている。「うずの舞」
e. フイリガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. variegate
江戸時代からある葉に白の斑が入るガク。黄斑も出る。花より葉を観賞。
f. 黒軸アジサイ Hydrangea macrophylla f. mandschurica
若枝が全て紫黒色になる古品種。花はテマリで青かピンク。
g. ヒメアジサイ(ロゼア) Hydrangea macrophylla f. amoena
ホンアジサイと違い葉に光沢が無く、質も薄い、寒さに弱く乾燥にも弱い。
h. マリエシイ(モモイロアジサイ) Hydrangea macrophylla f. mariesii
里帰り古品種。イギリスの園芸家、チャールズ・マリーズが1879に持ち帰った。
装飾花の多い中間型のガクでセイヨウアジサイの元になった。
2. ヤマアジサイ Hydrangea serrata
落葉性低木。本州の関東地方(福島県)以西の太平洋岸、四国、九州に分布。
多くの変異が発見され園芸品種になっている。
a. ベニガク Hydrangea serrata f. rosalba(japonica)
ひし状円形の装飾花の縁に鋸歯を生じ、白から紅色に染まる。
b. シチダンカ Hydrangea serrata f. prolifera(stella)
シーボルトが紹介した幻の花、六甲山で再発見されたが同じ花か疑問も。装飾花が八重になる。
c. マイコ Hydrangea serrata f. belladonna
両性花が全て装飾花になりテマリ状になる。
d. キヨスミサワ Hydrangea serrata f. pulchella
千葉県清澄山で発見された。装飾花のガク片は紅の色に縁取られる。
e. コアマチャ Hydrangea serrata var. thunbergii
ヤマアジサイの中で特別に葉に甘味を持っているものを言い外見の違いは無い。
f. オオアマチャ Hydrangea serrata var. oamacha
アマチャの中で茎が太く大きくなるものをこう呼ぶ。長野県信濃町で栽培されている。
g. アマギアマチャ Hydrangea serrata var. amagiana
天城山自生のもの。葉が非常に細く鮮やかな緑色をしている。
h. エゾアジサイ Hydrangea serrata var. megacarpa(subsp. Yezoenis) 亜種
裏日本地帯から北海道南部にかけて雪国の主として山地に分布する。
従来、エゾアジサイはガクアジサイかヤマアジサイの北方型といわれてきた。
最近の遺伝子分析ではヤマアジサイよりもガクアジサイのほうに近いことが分かってきた。
その場合はHydrangea macrophylla f. megacarpaとなる。ヤマアジサイに比べて葉が大きく花も大きい。
i. ニワアジサイ(ユキアジサイ) Hydrangea serrata f. cuspidate
長野県野尻あたりから新潟県・山形県にかけて豪雪地帯で栽培されている。
エゾアジサイから生まれた園芸品種か。大変美しいが雪国以外での栽培は難しい。
j. ヒュウガアジサイ Hydrangea serrata var. minamitanii
宮崎県五ヶ瀬から鹿児島県境鰐塚山あたりに分布、ヤマアジサイの変種。
水がしたたる斜面を好む。ヤマアジサイとの違いは葉柄や葉裏全面に毛がないことと、枝が下垂すること。
花色は淡いピンクからピンクへと変化する。 絶滅危惧IB類(EN)、南谷忠志氏が研究発表。
k. ナンゴクヤマアジサイ Hydrangea serrata var. australis
宮崎県、鹿児島県に分布。ヤマアジサイの変種。ヤマアジサイより葉が大きい。
この地域はヤマアジサイ、ヒュウガアジサイ、ナンゴクアジサイが混在する。
4. タマアジサイ Hydrangea involucrate
福島県から岐阜県にかけて、伊豆諸島、四国、九州(トカラ列島)の湿潤な林縁に分布。
関東ではヤマアジサイと同所的に分布する。蕾は苞にに包まれ球形。
開花期は7月~9月とアジサイ類では最も遅い。
a. テマリタマアジサイ Hydrangea involucrate f. steilis
丹沢で発見、タマアジサイのテマリ型。
b. コ コノエタマアジサイ Hydrangea involucrate f. plenissima
箱根二子山で発見。両性花が無く、全て八重化して複雑華麗になっている。
c. ギョクダンカ Hydrangea involucrate f. hortensis
タマアジサイの八重化品、ガク片は円形。
d. ヨウラクタマアジサイ Hydrangea involucrate var multiplex
伊豆の大島で発見、甲府付近でも見つかっている。八重の無性花が幾重にも重なっている。
e. ヤエノギョクダンカ Hydrangea involucrate cv. Hortensis
装飾花と両性花が八重になる園芸種
f. シロバナタマアジサイ Hydrangea involucrate f. leucantha
装飾花、両性花ともに純白
g. ラセイタタマアジサイ Hydrangea involucrate var. idzuensis
伊豆七島などの大型で葉が厚く毛深い品種
h. トカラタマアジサイ Hydrangea involucrate var. takaraensis
鹿児島県トカラ諸島に自生(絶滅危惧種)
9. ノリウツギ Hydrangea paniculata
日本全国、南千島、サハリン、中国、台湾の林縁地に分布。
装飾花のガク片が紅色に着色する固体がある。
名前の由来は幹の内皮に含まれる粘液を和紙を漉くときの糊料に用いたことによる。
園芸種は矮性の「ダルマウツギ」、全て装飾花になった「ミナヅキ」などがある。
a. ミナズキ Hydrangea paniculata f. grandiflora
ノリウツギの両性花が全部装飾花になったもの。
b. ヒダカノリウツギ Hydrangea paniculata f. debilis
ノリウツギの装飾花の無いもの。北海道に稀産する。
c. エゾノリウツギ Hydrangea paniculata var. praecox
北方産ノリウツギで早咲き、普通のあじさいと一緒に咲く。
d. ビロードノリウツギ Hydrangea paniculata var. velutina
愛知県産、葉の両面に毛が密生する。
e. ベニノリノキ Hydrangea paniculata f. rosea
装飾花が紅色
2. クサアジサイ (クサアジサイ属) Cardiandra alternifolia
本州(宮城県以南)、四国、九州に分布、多年草でアジサイに似た花をつける。
a. アマミクサアジサイ Cardiandra amamiohsimemsis
奄美大島、西表島、台湾、中国に分布、絶滅危惧種ⅠA類
b. オオクサアジサイ Cardiandra moellendorffii
西表島、中国南部、台湾に分布。
c. オオバナノクサガク Cardiandra alternifolia f. mirabilis
d. ハナクサアジサイ Cardiandra alternifolia f. Formosa
e. ミヤマクサアジサイ Cardiandra alternifolia var. oppositifolia