一寸離れた、横浜市北西部に広がる里山。 雑木林の丘陵に挟まれた谷戸田(細長く伸びた水田が幾筋も)。 水田用にいくつもの溜め池が、、昔ながらの田園風景が残っている。 今の季節田植えの準備が始まっていた。 稲田の助っ人!?!水鳥がのんびりと泳いでいる風情。。。のどか。 だが稲田の畦を整備しすぎ??かつての野草が姿を消した。残念である。 「横浜・寺家ふるさと村2015・5・23」
自宅を2週間程、留守にした。昨日の昼間に帰宅。 久し振りに我が家の主を探すと、庭の片隅で居眠りを!?! 以前植木鉢を置いていたすのこの上がお気に入りのようだ。 今年は、勢力を拡大した「ツタバウンラン」・・・! その花見をしながら居眠りか・・・春うららの「主」 一瞬目を開けたが・・・どこをほっつき歩いていた?? そんな眼差しでこちらを見て、再び・・すこやかに。。。! 昨今の我が家の生活リズムは、主たる猫の周りを回っているようだ。 すのこの前に陣取るツタバウラン、徐々に数が増えていた。 その脇には、紫酢漿草も妖艶な姿を見せる。 小さな花達、猫がガリバーのように大きく見えた。 「自宅2015・5」
野放図に手入れをしないで数年経っただけなのに植物の自然植生が見れる。 単に無精だけなのだが、自然に教えられる日々だ。 留守がちな昨今、訪問先で植物と出会える機会が持てない。 そんな中で自宅の狭い土壌で繰り広げられる植物社会。 小さな花を見てるだけでリフレッシュできる。 この植物諸君に感謝である。 「自宅2015・5」
ハルジオン(春紫苑) キク科(Asteraceae/Compositae) 学名:Erigeron philadelphicus ヒメジョオンと良く似るが、ハルジオンが先に咲く!?! ハルジオンとの違いは、ハルジオンは、蕾の頃は下を向いているのに対し、 ヒメジョオンは上向きのまま(これも色いろあって??) よくよく見るとハルジオンの花弁は、千切りの様に細かい。 ヒメジョオンは、細いが花弁の体をなしている!?! やはり鮮明に違いを見分けられるのは「葉」や「茎」だ。 茎は、折って見ないと分からない、折るのも忍びない。葉は、外見で分かる。 ハルジオンの茎葉基部は、耳状にはりだして茎を抱いている、茎は中空である。 ヒメジョオンは、葉の基部が茎を抱かない、つぼみがうなだれない、舌状花の冠毛が短い。 そして茎は、中実である。こんな事を思って見ると、おもしろおかしい。 シラン(紫蘭) ラン科(Orchidaceae) 学名:Bletilla striata (Thunb. ex Murray) Rchb. f. f. striata 花びらは、ラン形。 鮮やかな赤紫色の花、、、西洋から持ち込まれた園芸種と思ってしまう。 が、本州中部以西に自生する国産の野生ラン。 栽培の歴史も長く、万葉集にも「蕙」という名で登場する。 いわき市の海岸沿いの丘陵地帯にシランが自生しており、そこが自生地の北限か。 現地は、湿った斜面一面にシランが咲き乱れ、そのすがたは、瀟洒。 アカマツの低木がまばらに生え林床に光がよく差し込む。 シランの生育環境としては、最良の条件が備わっているようだ。 此処にしても乱獲が激しいと聞いた。 シランは繁殖力旺盛な自生ランだが、乱獲のスピードに勝てず著しく減ってしまった由。 「自宅2015・5」
今年は、4月半ばから5月の連休にかけて、沢山の金蘭・銀蘭と出会えた。 蕾の時、開花した時、見せ場を終えた時と、、、! それぞれの表情は豊かで「花の命」を強烈に、躍動感を以って魅せてくれた。 立ち姿は、バレリーナが舞っているように、姿勢よく楚々としている。 年々増え、広がりを見せてる彼らの生き様は、何か訴える感さえ伝わってくる。 今や全国では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、埼玉では絶滅危惧ⅠB類(EN)である。 《キンラン属》 キンラン属(Cephalanthera)は,東アジアを中心に広く分布する地生ランの仲間。 日本にはキンラン・ギンラン・ササバギンラン・ユウシュンラン・クゲヌマランの5種が自生。 身近な環境に生育する植種で野草好きには春を満喫、感受できるののプリマドンナである。 ランらしい草姿と丹精な花色を持つ魅惑的な植物。 野草愛好家には栽培できないと語られ,野に置くべき花と伝えられて来た。 しかし、人里近くに自生するため自生地からの移植・盗掘が後を絶たず減少(自生地)している。 更には、宅地開発で自生地も減少、今や絶滅危惧種となってしまった。 ラン科植物の殆どは "ラン菌" と呼ばれる共生菌から栄養を得て生きている。 落ち葉の腐葉土も重要である。菌への依存度が高いほど栽培が難しいのだが。。。! 国内産キンラン属における種毎の共生菌への依存度の高さは,大方次のような順。 ユウシュンラン > ギンラン > ササバギンラン > キンラン ≒ クゲヌマラン? 左に行くほど菌への依存度が高まる。つまり性質が腐食ランに近づいている。 キンラン属の共生菌は、樹木の外生菌根菌で鉢栽培では上手く育たない。 ラン科植物の共生菌は腐食菌(落ち葉や枝を腐らせる菌)や菌根菌(生きた植物の根に共生する菌)。 キンラン属植物を栽培するには、依存している共生菌(イボタケ・ベニタケ等)が、 共生している相手の樹木(ブナ科・マツ等)を同時に育てる必要がある。 ラン・菌根性樹木・菌根菌の三者共生関係を構築する必要があるのだが!?! 人間は、わがまま身勝手だと思う。、而して都合よく園芸的に創作してしまう!! 最近、ランの生産業者が、 "キンランの無菌培養苗を作ってしまった。 この "無菌培養キンラン" 山野草と同様に育てられると言われている。 混植には,キンランの共生菌の依存相手であるブナの仲間(コナラ・シイ・カシ)、 あるいは、マツの仲間(クロマツ・アカマツ)も用いられている。 ※キンランの共生菌は樹木の外生菌根菌であり,腐食菌ではない。※ キンランは、この仲間で唯一商業生産が為されている種。 早春に他の植物に先駆けて,鮮やかな黄色の花を多数咲かせる。 この仲間では共生菌への依存度が低い方であるのだが、、,? 典型的な里山の植物,大切に見守りたい。庭ではなく森の精であってほしい。 ギンランは、キンランに少し遅れて白い花を咲かせる種。 花に苞葉は無く,通常の根とともに太い紡錘状の根を多数持つ。 菌への依存度が高く,自生地での観賞に尽きる。 ササバギンラン、ギンランに似るが、長い苞葉を持ち全体にギンランより大きい。 個体数が比較的多い種で,環境適応能力が、他種に比べて高いか??? 様子。 ギンランより幾分か依存度は低いが,こちらも栽培は難しい。 クゲヌマラン。ギンランに似るが,葉に光沢があり,花に距がない。 本来,太平洋側海岸の限られたクロマツ林にのみ分布する種!!だが, 最近、日本各地で大群落が確認されている。 ユウシュンラン、日本に自生するキンラン属の中では最も共生菌への依存度が大きい種。 葉が非常に小さく,炭素同化の殆どを菌に頼っていると考えられている。 近間の里山では、金蘭・銀蘭しか出会っていないが見落としているかもしれない。 「大和市泉の森」
森でもあまり見かけない花、近間の里山では1ヶ所だけ観察出来る場所がある。 ひっそりと慎ましくも魅せる風情だが、地味な花である。 垂れ下がった姿は、なんとも言えず可愛らしい。 葉の脇から集散花序(最初の花が枝先に付きその下に次々と側枝を出し花がつく)を出す。 花径は20~30mm、暗い紅紫色の花、 花弁の様に見えるのは萼片。 萼片は4枚あって、外側には毛が生える。 葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で向かい合って生える(対生)。 小葉は卵形で先は尖り縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。 葉質はやや硬く両面に短毛が生える。 花の後にできる実は細い卵形のそう果(1つの種子しかなく開かないもの)で、 残った羽毛状の花柱が尾のようにつく。 和名の由来は、花の形を火事を知らせる「半鐘」に見立てたものだ。 半鐘のある風景、都会では殆ど無くなっただろう?? 学名の“Clematis japonica”で分かるように、日本の固有種である。 同族のミヤマハンショウヅルやセンニンソウは、見たことがあるが、 「シロバナノハンショウズル」には出会った事がない。希少種・・出会ってみたい。 5メートル向こうは、散歩の人々が往来している。 このつる性植物の周りだけに「静寂感」が漂う、、、!?! 「大和市泉の森」
端午の節句、わが子たちが巣立って久しい。 だからというわけではないが、節句の飾りをしなくなった。 童謡に、「屋根より高い、鯉のぼり・・・」という歌詞があるが、 現代の景観には、似合わない。時代を感じるが、どこか懐かしい。 風の強い、曇り空の里山辺り、我が幼少期の風情がそこにはある。 民家の座敷に五月人形が飾られていた。 長男、次男に白糸・赤糸威褄取鎧 (おどしつまどりよろい)を、 忠実に模した鎧を作って貰った。今はどうなっているだろうか?? 「大和市泉の森・民家園」
早い、あっという間に皐月・5月に入ってしまった。 四月に出会った花々、毎年同じ種類だが趣が異なる。 時間の制約があって近間しか行けなかった。 それでも新鮮に・・初めて出会ったかの様に映る花々!! 煩雑な人間関係から離れて目の前にある野草。 只々見るだけで満足だ。 「2015・4.。。大和市泉の森周辺」
四月、新たなる出会い。現役を退いて久しいのに色々と!! あちこちに出掛ける日々で元気を貰ってはいるが。。。 唯この季節、各地の温度差が激しくて一寸、くたびれていた。 それにしても気候が変わりつつあるのだろう。 今年は、弘前周辺、五所川原辺りでも連休には、完全な葉桜!?! 「お花見」を楽しみにしていたが・・・残念。 人との出会いもよろしいが、野に咲く花々、また会えたってたのしい。 早、皐月だが、、、四月に出会った花々、「春うらら」って感じ。