7月
18日,
2021年
落語に学ぶ「リーダーシップ」(第二話)
先日、少し触れた落語の話。今日はさらに続けて、落語を楽しむための「予備知識」をお伝えします。
1.落語の歴史
落語のルーツは、戦国時代にまでさかのぼることが出来るそうです。どうも戦国武将の「娯楽」として始まったとのこと。
その時代の落語の原型が、「笑い」がテーマだったのかは定かではありません。しかし、私の想像では血なまぐさい戦国時代であっても、恐らく人には「笑い」が必要だったのではないか、と想像しています。
そして時代は下がり、江戸時代。この時に落語の大ブームが到来。なんと江戸の町に125軒の「寄席」があった、とのこと。
125軒というと、どのくらいの規模か想像できますか? 当時の江戸の町は今の東京23区より少し狭いエリア。現在、東京23区にある映画館の数が約100軒ほどなので、今の映画館より多くの寄席が江戸には存在したということです。
コンビニほどではないものの、町の辻々に寄席があったイメージですね!それだけ江戸庶民の娯楽の代表格だったと言えるかと思います。
そしてその後、明治・大正時代には数々の名作が生まれたこと、そして「ラジオ」や「レコード」の普及に伴い、大ブレーク。それが昭和の落語ブームに繋がります。
2.演目
「演目」とは落語で話される物語、ストーリーです。演目には大きく「古典落語」と「新作落語」に分けられます。古典落語は簡単に言ってしまうと昔からよく話される演目で、新作は新しくつくられたもの。
なお古典落語は、元々ベースとなったストーリーから様々に派生して筋書きが出来た経緯もあることから、演じる落語家さんによって「アレンジ」OKとされているようです。
まるでジャズのスタンダードナンバーを、演奏者自身が好きなようにアレンジして演奏するのと同じですね!
演目の流れ、ストーリー仕立てや構成は概ね、以下の流れに沿っています。
「マクラ」→「本編」→「落ち(サゲ)」
つまり、「導入部分」→「メインストーリー」→「終章」
また演目には地域性もあります。江戸を中心として創作・演じられてきている「江戸落語」と関西を中心として創作・演じられてきている「上方落語」があります。
演目内容は、やはりその地域性を反映しているのか、上方落語の主役は商人が多く、江戸落語は武家文化が多い傾向にあるようです。もちろん東京で上方落語が演じられることも多いですし、その逆もしかりです。
ただ、パフォーマンスの仕方に違いがあります。例えば、上方落語は見台と膝隠しという調度品・道具を使用します。また途中に三味線やお囃子が入ったり、拍子木などの道具も使います。
3.噺家(はなしか)
先程から既に使ってしまっていますが、「寄席」という言葉。これは落語家(=噺家)のいわゆるホームグラウンド。このブログの冒頭の写真のような舞台です。
一段高い舞台になっているので「高座」とも言います。なお、噺家は自分の出番が来ると「出囃子」と共に高座へ上がります。落語家が登場しますよ!、という合図ですね。
また、噺家の世界、落語会には独自の「昇進システム」があります。これは江戸落語だけのものらしいですが、一種の階級制度です。それは、以下のようになっています。
「入門」→「見習い」→「前座」→「二つ目」→「真打」
なお東京には落語家の団体が4団体があり、昇進は各団体の判断・基準で決まる、とのことです。
ここまで、落語を楽しむための予備知識を、少しかいつまんで書いてきました。しかし今、このコロナ禍で、落語会・寄席は大打撃を受けています。映画館やテーマパーク、コンサート会場と同様に、寄席自体を開くことが出来なくなってしまっているからです。
寄席がホームグラウンドである落語家は「職場」を失って大変な事態に。
そこで先日、寄席や落語家の存続のため「クラウド・ファンディング」で寄付を募る企画が成されました。もちろん私は落語の大ファンの一人として、微力ながら寄付をさせて頂きました。
早くコロナが収束して、寄席や独演会に自由に行くことが出来る世の中になって欲しいです。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
17日,
2021年
自分の「30代にしておきたいこと」を、振り返ってみると!
本田健さんの著書「30代にしておきたい17のこと」を手に取る機会がありました。珠玉の17項目なので、20年前に出会っていたら、異なる人生を歩んでいたかも?と感じるほどです。
もちろん、書かれている内容の全てが、自分自身にぴったり当てはまる訳ではありません。そこで今だからこそ、純粋な気持ちで振り返ることも出来るかと考えました。
記されている内容に、自分の30代を重ね合わせてみて、思うこと・気付くことを少し、記したいと思います。
*「納得!」の3項目
1.自分は、どの分野で何をしていくのか
自分はいったい、何をやりたいのか?これを見極めることが重要。その通りですね。何に着手するにしてもプロになるには10年間くらいは要します。是非30代で自分の専門分野は決めたいです。
私は最初に入社した会社で「経理・財務」の仕事に巡り合い、数字を使って会社や業績を診る、という面白さを知りました。
2.才能のかけ算で可能性は倍増する
これは私の解釈では、二つの意味で良いことがあると考えています。一つは2つ以上の専門性や才能・強みは「相乗効果」を生むことが出来る。もう一つの良い点は「差別化」です。
私の場合は、経理・財務の分野に加えて、外資系企業で就業していたため必要に迫られた英語を体得することで、ラッキーなことに相乗効果と差別化の両方が叶いました。
3.どんな時でも、ワクワクすることを選ぶ
これは会社の業務においては、実現することは容易いことでは無いかもしれません。しかし「気の持ちよう」、与えられた仕事でも自ら「わくわく」を見つける、創り出すという心掛けは持ちたいですね!
*「やっぱりそうだよね!」の2項目
1.役割にはまらないように気を付ける
これは私は、自分で自分を「枠」に嵌めない、と勝手に解釈しています笑
もちろん人は皆、色々な立場や環境においてある「役割」を担っています。これを果たすことは周りからの期待に応える、と言う点においても重要です。
しかし、何かに・誰かに決められたその「枠組み」から逃れられないように自分を縛ってしまうのはどうでしょうか?出来る限りオープンな視点や思考を持ちたいです。
2.専門分野にも目標型と展開型がある
人生に成功するタイプには「目標達成型」と「展開型」がある、とのこと。目標達成型は文字通り、目標を打ち立てて、それに向かって成功する人。一方、展開型は、目の前にあることに打ち込んでいくうちにチャンスに恵まれて成功する人。
私の場合は展開型です。大きな目標というより、次は何を目指すのか?という発想が強いような気がします。
*「そうしておけば良かった!」の2項目
1.自分の未来をシミュレーションする
この発想は無かったですね!そして、未来をシミュレーションしておけば、ひょっとしたら、異なる時限の達成があったように思います。この発想は、若い世代に是非勧めたい発想です。
2.複数のメンターを持っておく
メンターや相談できる人を持つ、という発想は私には無かったです。これは今になって悔やまれることです。
困った時や判断に迷ったときに相談できる人がいる。信頼して導いてくれる先輩や年配者がいたら、さぞ心強かったと今でも思います。これも若い世代には伝えたいですし、もし宜しかったら、メンターの一人として活用して頂ければ、この上ない喜びです。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
16日,
2021年
ドキドキのコロナワクチン接種
今日、ワクチン接種に行って参りました!
ここに至るまで実はすったもんだがあって、いつ受けられるのか?
とやきもきしていました。
そもそも接種券が届かない。隣の市や23区はとっくの昔に届いているという話も聞いておりました。
そしてやっと届いた接種券で予約しようにも、全会場で満員!
なんてこった!
これは相当混乱しているんだな!
市役所も恐らく大混乱。それはそうですよね!
前代未聞の初めてのこと、いや全人類にとって、これまで世界中で同時期に同じことが原因で人間が右往左往している状況は初めての経験。
その後、ほどなく予約も出来て、本日に至る。
先程、会場に到着すると、係員がこれまた丁寧な対応。
ここにも生きている日本の美学「おもてなしの精神」。
注射なんて何年振りだろうか?実は内心、かなりビビっていたのですが
「え、もう終わりですか?」
と打ってくれた看護師に確認してしまうほど。
「はい、ワクチン液の量が少ないので。
インフルエンザよりもずっと少量なんですよ!」
ワクチン液の量が少ないことを喜んでよいやら、心配したらよいやら、良く分からないうちに「待合室」へ。
え、待合室? 誰と待ち合わせ?
いえいえ、アナフィラキシー症状が出た時への対応のために、摂取後15分間は「待合室」で待機。
特段、何の反応もなく、私の番はお開きに。
接種前に色々「嫌な」噂を耳にしていたので、ドキドキで臨んだワクチン接種ですが、取り敢えずは無事終了。
でも、何が起こる分からない、明日の今頃は発熱して、うなって床に臥せているかも......
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
15日,
2021年
誌上セルフコーチングの試み:国際コーチング連盟(ICF)のコーチ資格を取得しますか?
私自身が今、検討している、正直に言うと少し迷っていることを、この場をお借りして言語化・文章化させて頂ければと思います。そして折角なので「セルフコーチング」の手法を使って、課題解決まで自力で辿り着けるかどうかも、試してみたいです。
それでは、私コーチ(「私コ」と表示)と私クライアント(「私ク」同)とのセッションのやり取りを追ってみます。
なおテーマは、タイトルの通りです。
「国際コーチング連盟(ICF)のコーチ資格を、近々取得するのか?」
因みに「セルフコーチング」とは文字通り、自分で自分自身をコーチングする手法です。
私コ:ICFのコーチ資格の取得を検討しているのですね?
私ク:はい。プロコーチとしてコーチングを始めて今年で7年目。そろそろ挑戦しても良い頃かな、と。
私コ:なるほど、7年目ですか!プロとしてコーチという仕事をしていて、どうですか?
私ク:仕事、というとサラリーマン時代のことを思い出しますが、仕事を自分で創り出している感があって、大変ですが、楽しいことも多いです。
私コ:楽しいことも多いと!素敵ですね。どういう時に楽しいと感じるのですか?
私ク:一番、楽しい、コーチをやっていて良かった、と思う瞬間は、クライアントの表情が変わった時ですね。
私コ:表情が変わった時、ですか?
私ク:はい。コーチとの関わりの中で、クライアント自身が自分で何かに気付いた瞬間、目が見開いて表情が大きく変わるんです。日頃あまり表情が変わらない人でも、心の動きはさすがに隠せないらしく、「なるほど!」とか「そういうことか!」と無言ではありますが、伝えてくれます。
私コ:それは、嬉しい瞬間ですね!
私ク:はい。しかし実際は、いつもいつもそうでは無いです。自分の至らなさや視野の狭さ、視座が低いなど、自分は未だ未だだと感じることも多いです。
私コ:なるほど。それでICFのコーチ資格についてですが、今このタイミングで取得する意義は何なのでしょうか?
私ク:確かに!コーチ資格が無くとも、これまでもそうでしたが、プロコーチとしての活動は可能ですし、クライアントにこれまでも、とても恵まれてきています。
私コ:はい。それでも今、敢えてICFのコーチ資格?
私ク:そうなんです。ポイントは自分が何を得ようとしているか?なんです。グローバルな資格なので、海外のクライアント開拓には持っていた方が説得力が高まるし、プロコーチとして資格は国内にはありません。
私コ:資格という観点ではそうですね!他の理由や背景には、どういうものがありますか?
私ク:そうですね、漠然とした不安があるようにも感じます。
私コ:不安ですか?
私ク:はい。クライアントとのセッションを重ねれれば重ねるほど、これで良かったのだろうか、更に良くするためにはどうすれば良かったのか。そのためには、どういうスキルやマインド、経験が必要なのか、高めるべきなのか?など、色々と考えさせられることが多くなった気がします。
私コ:レベルアップ、ということを言っているように聞こえますが。
私ク:レベルアップ、ですか!うーむ、レベルをアップさせるのではなく、もう一段階、これまでとは世界の違う、より上のステージのコーチング、というイメージのように感じています。
私コ:より上のステージ、ですね!それが出来るようになると、今のコーチングと何が異なるようになるのですか?
私ク:うーむ、それが分からないんです。そもそも、そんなものは見つけられないかも知れない。でも、それを求めて、何か研鑽や自己鍛練が必要なのでは?それをしないと何かから、置いて行かれてしまうような不安、でしょうか。
私コ:それを満たすためにICFのコーチ資格を取得するということですか?
私ク:そういう意味では、取得が目的というより、取得のために再度学ぶ、研鑽を積む、という過程やプロセスの中に自分を置きたいのかも知れません。
私コ:なるほど!今日は「ICF資格を近々、取得するかどうか?」というテーマで話していますが、ここまで話してみて、どうですか?
私ク:資格取得は、やはり目的、ゴールというよりは手段、と考えているように感じます。しかし一方、グローバル資格という点においてはICFの資格に魅力を感じているのは本心だと再認識しました。
私コ:それでは、取得するのか、どうするのか?についてはどう考えますか?
私ク:そうですね、やはり取得したいんだな、と思いました、いつかは!
私コ:いつかは取得したい、ということなんですね!
私ク:はい、近々は時間的、そしておカネ的にも難しいので、近い将来の課題とします。
私コ:近い将来、とはいつごろの時期になりますか?
私ク:そうですね、来年末くらいかな?
私コ:来年末、くらいですね。なるほど。ではそのタイミングまでにすべきこと、したいことには何がありますか?
私ク:うーむ、そうですね、やはりお金、どれくらいの費用が掛かるのか、そして時間的にも準備にどれほど時間を要するのか?それは事前に調べておいた方が良いかな?
私コ:なるほど、それは必要ですね!ぜひ調査を進めてください。
私ク:はい、そうします!
という感じで、自分自身の気持ちをセルフコーチングで確かめることが出来ました。
お付き合いをありがとうございました。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
14日,
2021年
落語に学ぶ「リーダーシップ」
実は私は無類の「落語」好き。うちの両親とも東京の下町育ちということもあるのか、子供のころから、そもそも「落語」は身近な存在。
しかし、本当のその魅力に取りつかれたきっかけは、
海外生活をしていた時に、自分がいかに日本文化を知らないことを痛感した
のが始まりです。
茶道とか華道って柄じゃないし、書道は子供のころから大嫌いだし笑
コーチングを学んだことによって、「コミュニケーション」の重要性に気付かされたことも一因かも知れません。そして、
「和芸」である「話芸」、落語にハマりました!
でも「落語」と「リーダーシップ」?
奇妙な取り合わせと感じた方も多いと思います。
実は、落語のストーリー、業界用語では「演目」と呼びますが、この演目には様々な人が登場します。そこから学べる事柄が実はとても多いのです。つまり
人生に大切なノウハウがいっぱい学べる!
という訳で、明日から落語の世界へ、少しずつお連れしようと思います。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
13日,
2021年
最近、耳にする「ナッジ」を皆さんはどう感じますか?
昨日に引き続き、今日も「ナッジ」の補足をします。
ナッジとは、大阪大学大学院経済学研究科の大竹文雄教授によると
「一人ひとりが自分自身で判断してどうするかを選択する自由も残しながら、人々を特定の方向に導く介入」
例えば、ある手術を行うかどうかについて、次の情報が与えられた時、あなたは手術をすることを選択しますか?
A「術後一ヶ月の生存率は90%です」
では、次の情報を与えられた時は、あなたの選択はどうだろうか?
B「術後一ヶ月後の死亡率は10%です」
ある研究によると、Aの場合なら約80%の人が手術をすると答えたが、Bの場合なら約50%の人しか手術すると答えなかった、とのこと。
よく文章を読めば、AもBも情報としては全く同じ内容です。しかし、損失を強調したBの表現の場合には、手術を選びたくないと考える人が増える、というのです。
政策担当者がナッジに注目するのは、金銭的インセンティブを使わず、そして税金も掛からず低コストであること。そして行政運営の手間も省けるということで導入がしやすい利点があるからである。
しかし反面、問題もあります。
それは、上記の手術に関わる情報で皆さんも気が付いたように
「何か騙されている」「政府に誘導されている」
と感じさせるからです。
ここで更に興味深いのは、誘導されていると感じる度合いは、国によって異なるということが調査で分かったようです。
これについて調査・分析したのがこの著書、「データで見る行動経済学」です。米国やヨーロッパ諸国の調査結果が披露されていますが、ここでは日本の状況だけ、ごく簡単に触れておきます。
大雑把に述べさせて頂くと、米国やヨーロッパ諸国に比べて、
日本は、ナッジへの支持率が低い。
一方、中国と韓国は総じて賛成率は高い、とのこと。
例えば、支持率の低いナッジの実例としては、
「健康に良い食品かどうかを赤・黄・青の交通信号形式で表示することを義務付ける」
という情報提供型ナッジがあります。日本以外の国では約80%の人がこのナッジに賛成するようですが、日本では55%しか支持しない、とのこと。
日本人がナッジを支持しない理由は、まだ完全には解明されてはいませんが、一つの理由として挙げられているのは、政府への信頼が低いから、とのこと。
さもありなん、という印象ですね!
今後も色々な形で、「ナッジ」を活用した各種政策が出される可能性があります。従って、少し注意深く見て行く必要がありそうです。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
12日,
2021年
最近、耳にする「ナッジ」とは?
今日のテーマは「ナッジ」です。
たまに新聞やニュースなどで見聞きする、ちょっと聞きなれない言葉ですね。
私もよく知らなかったので、ちょっと調べたミニ知識を今日は共有させて頂きます。
大阪大学大学院経済学研究科の大竹文雄教授による説明では、
「ナッジ」とは、政策手段の一つで
「一人ひとりが自分自身で判断してどうするかを選択する自由も残しながら、人々を特定の方向へ導く介入」
とのこと。
ナッジには大きく分けて二種類あります。
1.情報提供型ナッジ
2.デフォルト設定型ナッジ
1.「情報提供型ナッジ」とは、コンビニでレジに顧客が一列に並ぶように、レジの前の床に「足跡」の絵を描く。これは情報提供型ナッジの実例です。
もっと単純に、情報を単に提供するだけで人々の行動が変わることがあります。例えば、ファストフードレストランのメニューにカロリー表示をする、たばこのパッケージに健康警告画像を表示する、などです。簡単に想像が付きますよね?
2.「デフォルト設定型ナッジ」は、先ずデフォルトとは、何も明示的意思表示をしていない時になされる意思決定のこと。
例えば、最高裁判所裁判官国民審査では、審査を受ける裁判官の使命のところに「✕」を記入した場合に「その裁判官を辞めさせたい」という意思表示になります。
一方、何も書かなければ「その裁判官を辞めさせたくない」という意思表示をしたと見なされる。つまりこの場合、裁判官を信任するという意思決定が「デフォルト」になっているのです。
別の事例としては日本で、公的年金に加入することは義務となっていますが、一方「iDeCo(イデコ)」という個人型確定拠出年金は任意加入です。つまり能動的にiDeCoへの加入申し込みをしない限り加入できません。そしてそれは任意です。
それで思い出したことがある!
以前、私が家族と共に移住生活を送っていたニュージーランド。
ニュージーランドの私的年金制度である「キウイセーバー」は、そう言えば「自動加入方式」でしたね。従って、加入しない、という意思表示をしない限り加入したと見なされ、毎月一定額の年金保険料を徴収されてしまう。
一生ニュージーランドに住むと決めていたら、そのままの加入しておいたかも知れないが、加入しない(「Opt Out」と表現)旨の表明をしました!
これもナッジの一種だったのだ!
今日はこれくらいで。続編は気が向いたら投稿します。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
11日,
2021年
賢人たちの教え:「新しい世界」を読んで
コロナウィルスの蔓延という、人類がこれまで遭遇したことがない「地球規模の危機」に遭遇しています。そして我々は今改めて、色々なことを問われているように感じます。
そんな気持ちで思わず手に取ったのが、「新しい世界」という書籍。
世界の賢人16人が語る未来、という副題がついていますが、彼らはどんな切り口で現代社会を見て、どのような将来を思い描ているのでしょうか?
16人賢人の全ての見解に賛同しているわけではありませんが、私の心に残った賢人のメッセージをいくつか引用します。
1.エマニュエル・トッド「パンデミックがさらす社会のリスク」
- 国の存亡を決めるのは出生数。社会の活力の尺度は、子供を作れる能力である。
2.ジャレド・ダイアモンド「危機を乗り越えられる国、乗り越えられない国」
- 難局に強い国は「現実的な自己評価が出来る」「他国の優れた部分を学び、変えるべきところを変えられる」
3.ナシ―ム・ニコラス・タレブ「『半脆弱性』が成長を助ける」
- 過度な安定や大企業への依存が高まると、脆弱性が増す。限定的なショックや「規模」への見直しが必要。
4.ナオミ・クライン「スクリーン・ニューディールは問題を解決しない」
- アクセルを踏まず、スピードを落とそう。スローダウンした生活を楽しむ人もいる。
5.ダニエル・コーエン「豊かさと幸福の条件」
- 人の幸せとは周りとの関係から生まれる。豊かさは絶対量では豊かになる過程が幸福をもたらす。
6.マイケル・サンデル「能力主義の闇」
- 能力主義の文化は、勝ち組を傲慢にし、そうでない人に対して優しさを示さない社会を作った。
- 成功と失敗の概念の再考が必要で、成功は「運」にも拠ると考えると謙虚な心を持てるようになる。
7.ボリス・シリュルニク「レジリエンスを生む新しい価値観」
- コロナ危機後は、社会がもっとゆっくりとしたものになるのが良い。過剰な刺激は無意味。
- 学校教育ではゆっくり学ぶこと、実際に顔を突き合わせながら、先生は知識だけではなく感情も伝える人であって欲しい。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
10日,
2021年
「心理的安全性」は、どのようにすれば実現できるのか?(最終回)
10回以上に渡って読み進めて来ました、ハーバードビジネススクールのエドモンドソン教授の著書「恐れのない組織」も、 今日が最終回。
教授が最も伝えたかったと想像される終章に焦点を当てて行きます。
この著書にはリーダーが心に留めたい「珠玉のフレーズ」が随所にあります。終章はその集大成。それらを私なりの補足も交えて列挙します。
- 負けないようにプレーするのではなく「勝つためにプレーする」
- リーダーシップは組織のトップ層だけが発揮するものではなく、むしろあらゆるレベルで実践出来るものだ
- 沈黙ではなく「発言」を、不安ではなく積極的な「参加」を求めることが、今日のリーダーの最重要の責任である
- 過去の失敗から学ぶ。間違うこと自体は悪くない。問題は、間違いから学んでいるかどうかだ
- とことん話し合う姿勢:議論する際のルールを確立しよう!
いかがでしょうか?
VUCAと言われる時代。「心理的安全性」が職場でいかに重要か?
そして、それを実現するために、リーダーが、及び、チームメンバーの一人ひとりが出来ること、すべきことを具体的にイメージさせる素晴らしい内容でした。
今日から一つでも実践するように心がけたいと思います。
そしてまた、企業や組織に属するお客様と関わる機会が多いエグゼクティブコーチとして、「心理的安全性」の重要性を伝えて行きたい、意を強くいたしました。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
7月
9日,
2021年
「心理的安全性」に関する素朴な疑問(第15回)
引き続き、ハーバード・ビジネススクールのエドモンドソン教授の著書、「恐れのない組織」を読み進めて行きます。
そろそろ終盤。今日は「心理的安全性」の重要性は理解できるけど.....
「素朴な疑問」がある!
そんな我々に教授は、回答の章を設けてくれています。そこで、いくつかここで引用してみます。
素朴な疑問
Q1.心理的安全性が過度になることは無いのか?
Q2.職場が心理的に安全になると、時間がかかり過ぎてしまうのではないか?
Q3.心理的に安全になることは賛成だが、職場の上司でない自分に何が出来るのか?
Q4.職場で率直な意見を言ったら、周りの皆に嫌われてしまった!
Q5.上司が相変わらずで変わる気も無い場合、部下たちはどうしたら良いか?
エドモンドソン教授からの回答を簡単に纏めてみると、こんな感じです。
A1.おしゃべりや無駄話が増えるなどで、規律は少し欠けるようになるかも知れない。しかし「過剰に」なることはない。心理的安全性とは「対人関係の不安を減らすこと。」対人関係の不安は職場で何の役にも立たない。
A2.心理的安全性は時間の浪費ではなく、むしろ節約に繋がる。それは率直に意見を言い合える環境に助けられ、重要な論点に直接的に焦点を当てて議論できるからである。
A3.上司やリーダーでなくとも出来ることはある。例えば、周りの人の意見に心からの好奇心を持って、熱心に耳を傾ける。共有ゴールに向かうための良い質問をする。仕事や目的を「リ・フレーミング」する。
A4.(これが起こる確率は低いと思われるが)もし起きたとしたら、周りの人にとってあなたの意見が必要であるのと同様、あなたにとっても他の人の意見や反応が必要だと気付くチャンス、即ち学習の機会と捉える。
A5.他人を変えることは簡単ではない。あなた自身ができること即ち、「好奇心」と「思いやり」と「真摯な熱意」、この3つを心に留めよう。我々はつい組織の上位の人の言動に目が行きがちだが、同列や後輩たちなど多くのチームメンバーがいるはずだ。私たち一人ひとりが、ちょっとしたことによって「職場の雰囲気」を創り出しているのだ。
いかがでしょうか?具体的なイメージや行動が見えたかと思います。
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ